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留学道⑱ ‐ 留学と移民①【カナダ移民、達成とその後】

ディレクターの海野です。2024年という新しい1年がまた巡って来ましたね。

カナダで移民をするということ

最近は、カナダへの留学を「カナダ移民」への足掛かりとしてお考えになる方が増えて来ました。LINEやSNSなどでいつでも家族や友人と繋がっていられ、世界のどこにいても同じメディアで情報を入れられる今は、海外で働くこと、海外に住むことのハードルが昔よりどんどん低くなっていると感じます。カナダ移民の方法や経験談については情報が出てくるようになった一方で、なかなか、「移民、その後」の話を聞く機会がないのではないかと思います。

私自身、カナダ生活が16年目、PR(永住権)を取得してからはや14年となり、そろそろ3回目の更新を考える時期となりました。社会人として生活している国はカナダの方が長くなっています。仕事柄、留学を経て移民した方々を多く見て来ましたし、留学時代はお客様だった方々が移民した後に、プライベートでお友達になることも多くあります。

同じ留学→移民の先輩として相談を受けることも多いため、そんな移民後の苦労話や感情を今日は発信できればと思います。

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移民達成0~1年

カナダ人との結婚を理由に移民を取る方、カナダでの職務経験などを元に移民を取る方、様々な移民の取得方法がありますが、まず、移民として認められると、「外国人」「一時滞在者」という立場が終了し、やっと少し「地に足のついた」気持ちになる方がほとんどではないかなと思います。

PRにも5年更新・2年の居住要件という縛りはありますが、ビジター状態で結果を待っていたので働けない、今のビザの期限の後残れるか分からない、申請中なので国外に出られない、州の健康保険に加入できない、ワークビザを出してもらっているので転職できないなど、外国人や一時滞在者として滞在している時の制限に比べると大きな差です。

日本人として日本にいれば、当然できるはずのこと・当然持てる権利がないということ、そして、半年~1年先など短期的な未来が不確実、という状態は非常に大きなストレスです。そういう時は、人間関係もおっくうになってしまう、という話もよく聞きます。「移民が取れた!」というステップで、まずはそのストレスから解放され、将来の計画を立てる、各種手続きを行いカナダでの基盤を積み上げて行くことにやっと取り掛かれます。州立のカレッジや大学の授業料が、留学生料金ではなく、永住者/カナダ国籍保持者の値段で行けるようになるため(約1/3)、就学を検討する方も多いですね。

個人的には、当時、「日常会話はできても、カナダで暮らして/働いて行くための英語力がないじゃない」「私、カナダ人としてはすごく役立たずだな・・・」と、小さな自信が木っ端みじんに弾け飛んだ時期でもあります。同時期に申請した移民のお友だちと情報交換をしつつ、そして時に自分の状況に焦りつつ、といった時期です。

1年目~5年目

多くの方が、基盤づくりに必死な時期だと思います。前述の通り、縛りがあった方は、仕事を始めた・転職した・学校に行きはじめたと生活環境を変える方も多いため、その生活に慣れるために忙しくなります。

同時に、車を買いたい・家を買いたい・家族を増やしたいなどの次のステップを考える、実行に移す方も多いため、カナダの様々なシステム(医療・税金など)に対し、知識を深め始める時期ではないかなと思います。日本に置いていた貯金は移動させた方がいい?歯の治療をしなきゃ。銀行の使い方ってこれで合ってるのかしら。クレジット履歴って何?子供の教育資金の積み立てはどうやるの?RRSPって?などなど、知らないことがたくさんあります。

例えば、カナダの場合、ローンを組む際や賃貸契約の際に、個人の信用をクレジットスコアというものではかることがあります。その個人が、お金の扱いに信用が足りるかということを見るために、支払い契約やクレジットカードの残金などを延滞なく支払っているかを見るのですが、日本名義のクレジットカードやカナダの銀行のデビットカードを使っていたり、配偶者に支払い全般を任せていると、スコアが出なかったり、低かったりします。ワーホリ時代に作った口座を閉めなかったので残高がマイナスになっていて、スコアが随分低く出てしまい、クレジットカードが作れなかった、契約を断られた、というような話もあります。

多くの方がお金のこと、体のことに向き合う時期ではないかな、と思います。私は、この時期は日本のことはほとんど忘れ(ほったらかして)、カナダ生活に必死でしたし、日本のことを知ると自分だけ疎外感を受けてしまうのでシャットダウンしていた気がしますが、定期的に日本に帰り、親御さんや友人と密に連絡を取り、半分カナダ・半分日本というような感じで上手にバランスを取っている方もいらっしゃいます。

 

 

 

5年目以降

5年も経つとさらに人生に何か大きな変更が出ている方も多く、永住権の1度目の更新を前に、一度、立ち止まってカナダ生活を振り返る時期になる方が多いようです。長く勤めていた会社を辞めて転職することにした、結婚/離婚することにした、州をまたぐ引っ越しをすることにした、学校に行くことにした、起業することにした、日本に帰ることにした、などの転機のお話を私もよく聞きます。

引っ越しや就職に関しては、移民前(0~1年)の時は、必要に迫られ、追い立てられるように(または自分の都合ではない事情で)決定したことがあった方も、今回は、1人で、または家族で、新しい環境でもやっていける!という自信を積み上げて来た結果の決断であったり、5年程度をカナダで過ごす中で準備して、考えて決めた決断だったりするので、本当にやりたいことや、楽しみにしていたことであることも多いようです。

今移民を考えている方も、「最終的にやりたいこと」のビジョンがあると、この5年を楽しみに過ごせるのかもしれません。

とは言え、カナダ生活がまさに「現実」以外の何ものでもないものになって来ます。5年もいればさすがにそれなりに何でもできるだろう、と思っていても、やはり、細かい手続きなどは分からないことも多く、日本ならこうなのに~というストレス、元々描いていたカナダ生活とのギャップ、外国人であることの不便さなど、楽しくない現実とも向き合う必要があります。

5年~10年

私自身は、この時期が一番人生にとって変化が大きかった期間です。

8年一緒にいた主人との離婚を決めたのもこの時期、そのため、二人で手に入れた家を売ってしまいました。そして、自身が経営していた会社(※弊社の前身)の給与と担当業務を一旦ゼロにして、仕事の延長線上にある資格試験を受けるためのプログラムに入学を決めました。

さらに10年目の節目は、コロナ元年。ビジネスの不振で前身である会社のビジネスパートナーとの連携関係も解消することとなり、ここまで、カナダ移民者として1つ1つ積み上げてきたものを、全て根底からひっくり返すようなことばかり起きたわけです。

もちろんそれに対して悲しかったこと、つらかったこともたくさんあるわけですが、一方で、当時の写真などを振り返っても、私はいつもニコニコ笑っており、今もカナダに残り、カナダで結局、同じようなビジネスを続けています。(※補足※既に永住権を取った後に、カナダ人との婚姻を解消する場合でも、永住権は剥奪にはなりません。)

私と同様、ここまで一気に皆さんが持っているものを捨てるというわけではないと思いますが、一方で、この時期、積み上げてきたものをもう一度、振り返って客観的に眺めて、「本当にいるもの」と「いらないもの」とに分けて行く、そんなフェーズになるんじゃないかと感じたりします。

とにかく、「外国人としての私」を「カナダで頑張っている私」にしたくて闇雲にチャレンジして来たこと、必要だ・欲しいという衝動に駆られて手に入れてきたものを、その達成感を感じた後、「でも、いらないかもな?」と客観的に見ることができるのかもしれません。

10年以降

私が今ここにいるので、この後のことはまだまだ未知数です。ただ、1つだけ実感としてあるのは、今も持っているもの・捨てて来たもの、その全ては結局、今に繋がっているということです。私の例で言うと、離婚した主人との友人関係は今も続いていて、ご両親とは元主人を入れず、食事をしたりイベントに出かけたりする仲を保つことができています。ビジネスパートナーとの関係がなくなっても、教えてもらったこと、一緒に見たビジョンは私の中に残っていますし、当時の努力や苦労は、事実、報われていると感じます。

カタチや中身を変えても、消してゼロにはならない。やって来たことが、本当の本当の意味でゼロ・無駄になることなどない、と強く感じます。

よく誤解されるのですが、カナダの移民、つまりPR(Permanent residence)の権利を取得することと、カナダ国籍を取ることは異なります。永住権者は、カナダに住む権利は持ちますし、カナダ国民とかなり似た権利や義務を負うことになりますが、例えば選挙権がありませんし、犯罪を犯したなどの一定の条件化では剥奪されることもあります。

日本人の場合は二重国籍が認められていないため(※違憲裁判が行われていましたが、23年10月に最高裁判決で確定)、カナダ国籍を取得するためには、日本国籍は離脱することを選ぶ、という大きな選択になります。そのため、カナダに長く暮らしている方であっても、PRカードを更新しながら、永住者として暮らしている方も多くいます。私も、今、永住者として暮らしています。つまり、「日本人であること」はまだ捨てたつもりではないんです。

友人の中では、15年、20年、30年とこちらで移民者として暮らしている方も多くいますから、私の10年などは、まだまだ短い方です。ここまで来ると、どなたも、思春期のお子さん・連れ添った配偶者・自分のビジネス・会社でのポジション・家などの不動産など、手放すことができないものをカナダに持っています。ただ、これらにまたひと段落着いた時に、改めてまた、「カナダ移民」と「日本人であること」を考える方が多いようです。

お子様が独立した、ビジネスをリタイアした、ローンが終わったなどのタイミングで「老後は日本で過ごす」と30数年のカナダ生活を終えて日本に帰った方もいらっしゃいますし、逆に日本の財産を処分しご両親をカナダに呼び寄せた方もいます。ご夫婦ともに日本人なため、旦那様だけが仕事上の利便性もありカナダ国籍を取得、奥様は日本国籍を保持し、将来的に必要であれば国籍を戻す、という選択肢を残している方もいます。

もちろん早々に市民権を取得し、カナダに骨をうずめるつもりの方もいらっしゃいます。カナダ人の配偶者と離婚しても既に取得した永住権は保持できるのですが、永住権を放棄して日本に帰国した方もいます。また、最近で言うなら、日本帰省中にコロナで渡航制限がかかり、思いがけず日本滞在期間が増える中で、「あれ・・・私はカナダでしか生きられない思っていたけれど、日本の方がやっぱり好きかも」と考えを変えた方もいらっしゃいます。

恐らく、最終的には同じことを検討するのだろうと思います。(個人的には、まずは、日本が二重国籍を認めてくれたら楽なのにな、と思いますが、まだまだ長い道のりのようです)

 

おわりに

長々と書いてしまいましたし、少し自分の話が入ってしまいました。

20代の頃、私が気軽に夢だと口にしていた「カナダ移民」。でも、もちろんのこと、移民は決してゴールではなく、ほんの入り口でした。これから永住権を目指す方、もしくは、最近達成したよ、という方もきっと、同じようにいろいろなことを考えるカナダ生活になるのだと思います。

永住権を取るまで、そして、その後のカナダでの生活や夢、そして、日本との関わり方もイメージできるような記事になっていると嬉しいなと思います。

 

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