2026年、カナダで就労や永住権を目指すのは難しくなった?ワーホリ・Co-op・カレッジ進学を考える前に知っておきたいこと

カナダ公認移民コンサルタントによるコラム企画の第2弾です。
こちらではカナダで就労ビザや移民の手続きを長年行っているQLSEEKER CANADA Inc.の代表・移民コンサルタント、上原さんに、制度の説明を、そして、15年以上カナダで留学手配に関わるMYNDSの海野との合作で、ビザの制度と、それに関わる留学の考え方や上手な使い方について、お伝えしていきます。
- カナダの大学・カレッジ進学に興味がある
- ワーホリで働きながら留学したい
- カナダで就職・移民が気になる
- Co-op、看護師留学など多数取り扱い
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Table of Contents
はじめに
カナダ留学を考えている方の中には、ワーホリやCo-op、カレッジ進学を入口にしながら、その先のカナダ就職や長期就労、あるいは移民の可能性まで視野に入れている方も多いと思います。
また、最初から永住権を目指しているわけではなくても、カナダで生活してみて、自分に合うと感じたら長期滞在や移民を考えたいという方もいらっしゃるでしょう。
ただ、2024年後半以降、カナダの就労ビザや移民をめぐる環境は大きく変わっています。以前のように「まず行って、現地で考える」という進め方が通用しにくくなってきています。
この記事では、移民コンサルタントの上原さんに制度面の解説をいただきながら、MYNDSが留学・学校選びの視点から補足する形で、今カナダを目指す方に知っておいてほしいことを上原さんと一緒に整理していきます。
2024年以降、カナダの就労ビザや移民制度では、どのような変化が起きていますか?
留学生・外国人労働者政策の大転換
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ここ数年で、カナダの移民政策は大きく方向転換しています。これまでのカナダは、留学生や外国人労働者を積極的に受け入れる国として知られていました。留学生は卒業後にPGWP(Post-Graduation Work Permit:卒業後就労ビザ)を取得し、カナダで職歴を積み、その後永住権を目指すという流れが比較的明確に存在していました。しかし現在、そのモデル自体が大きく見直されています。
背景にあるのは、急激な人口増加と、それに伴う社会的な負担です。特に住宅不足、家賃高騰、医療アクセスの悪化、交通インフラへの負担、そして若年層失業率の上昇などが大きな社会問題となっています。コロナ以降、カナダは急速に一時滞在者(留学生・外国人労働者など)の数を増やしましたが、その結果として「受け入れのスピードに社会インフラが追いついていない」という不満が国内で強まっていきました。
その流れの中で、カナダ政府は現在、「一時滞在者の総数を抑制する」という方向へ大きく舵を切っています。カナダ政府は、一時滞在者の総人口に占める割合を、2027年末までに5%未満へ抑制する方針を打ち出しています。
最も象徴的なのが、Temporary Foreign Worker Program(TFWP)の引き締めです。特にLow-wage Stream(低賃金カテゴリー)に対する制限はかなり強化されました。以前は、飲食業、サービス業、小売業などでも比較的LMIA(Labour Market Impact Assessment)を取得しやすいケースがありましたが、現在はかなり厳格化されています。
政府は、「外国人労働者への依存が進みすぎている」「まずカナダ人雇用を優先すべきだ」という姿勢を明確に打ち出しています。そのため、都市部の高失業率地域ではLow-wage LMIAの受付制限が行われたり、外国人雇用人数比率への上限が導入されたりするなど、雇用主側への規制も強まっています。
一方で、医療、建設、一部の地方産業など、本当に人材不足が深刻な分野については、依然として外国人労働者が必要とされており、「全面停止」ではなく、「必要分野への重点化」が進んでいる印象です。
留学生政策も大きく変わりました。
2024年以降、PGWP制度には大きな変更が入りました。以前は、比較的広い範囲のプログラムがPGWP対象となっていましたが、現在は「労働市場に必要な分野」へかなり強く誘導する方向へ変わっています。
特にカレッジディプロマなど一部非学位プログラムでは、専攻分野によってはPGWP対象外となるケースも出てきています。さらに、PGWPに語学要件の追加、配偶者オープンワークパーミットの制限強化なども行われ、留学生制度全体がかなり厳格化されています。以前は、「まずカナダへ留学し、その後現地でチャンスを探す」という進路もある程度成立していました。しかし現在は、どの州を目指すのか、どの学校へ行くのか、どの専攻を選ぶのか、卒業後どの分野で働く予定なのか、そこまで含めた戦略の設計が以前よりはるかに重要になっています。
さらに大きな転換点となったのが、学生ビザ発給数への制限です。
2024年、カナダ政府は学生ビザの発行数に上限(cap)を導入しました。これまでのカナダは、留学生受け入れを経済成長戦略の一部として強く推進してきました。しかし現在は、「急増しすぎた留学生数を管理する」という方向へ完全に変わっています。背景には、一部私立カレッジによる“留学ビジネス化”への批判もあります。特にコロナ後、一部学校では大量の留学生をリクルートし、留学生は就学よりもキャンパス外の就労を目的として学生ビザを利用しているという懸念が強くなりました。
「量から質へ」の転換
もちろん、多くの留学生は真剣に勉強し、将来設計を考えています。しかし制度全体として見ると、政府は「受け入れ数の拡大」よりも、「管理」と「選別」を優先し始めているようです。
また、配偶者のオープンワークパーミットの対象縮小も象徴的です。以前は、比較的広く認められていた家族帯同就労が、現在では特定の学位課程やハイスキルド職種へ限定されつつあります。ここからも、「高度人材・必要人材へ重点化する」という政府方針が見えてきます。
全体として見ると、2024年以降のカナダ移民政策は、明らかに「量から質へ」の転換が起きています。
以前は、「できるだけ多く受け入れる」方向性が比較的強かったのに対し、現在は、
- ハイスキルの職種
- 高賃金職種
- 医療
- 建設
- STEM
- 地方の人手不足職種
などへ、かなり重点化されている印象です。
また最近では、Express Entry改革案の中でも、「high wage occupation(高賃金職種)」を優遇する方向性が議論されています。政府としては、高所得層を増やし、税収増加や経済成長へつなげたい意図があるのでしょう。
ただ一方で、社会というのは高所得専門職だけで成り立つわけではありません。実際には、サービス業、物流、飲食、介護、清掃など、多くの「日常を支える仕事」が存在しています。
そのため現在の政策転換については、「高度人材重視は理解できるが、それだけで社会が成り立つのか」という議論も今後さらに強くなっていくかもしれません。
私自身、20年以上カナダ移民業務に携わってきましたが、現在はかなり大きな転換期に入っていると感じています。
以前は、「まずカナダへ来て、その後チャンスを広げる」という考え方も比較的成立していました。しかし現在は、学校選び・専攻・職種・キャリア設計・地域選択まで含めた、より戦略的なプランニングが必要な時代になっています。
カナダは今後も移民国家であり続けるでしょう。ただし、「誰を受け入れるか」を以前より慎重に選ぶ時代へ入った、それが、2024年以降の最大の変化だと思います。
新しい移民政策を乗りこなすためのQ&A
Q. 具体的にどのような分野を目指すことが永住権への近道ですか?
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
現在のカナダ移民政策を見る限り、以前よりもかなり「人手不足職種重視」の傾向が強まっています。
特に最近の政策変更では、医療、建設、エンジニア、一部トレード職、地方人材不足職種、フランス語人材が優先される傾向が見られます。ただ、AIの影響もあってプログラマーを含むホワイトカラー職は今後縮小する可能性もあります。
Q. 飲食店やサービス業から、現地就労や永住権に繋げるルートはまだ残されているのでしょうか?
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
完全になくなったわけではありませんが、以前よりかなり難易度は上がっています。特に2024年以降、カナダ政府はLow-wage LMIA(低賃金カテゴリー)への規制を強化しています。背景には、外国人労働者への依存増加、若年層失業率、「まずカナダ人雇用を優先すべき」という世論などがあります。
そのため、飲食業やサービス業では、以前ほど簡単に就労ビザを取得できる状況ではなくなっています。また、永住権についても前述したようにExpress Entryのプールの中では、高賃金職種の申請者が優遇されるため、今後ますます競争が厳しくなると予想されます。
Q. Co-opでの就労は、就労ビザや永住権の取得にどう貢献しますか?
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
Co-opは、単なるアルバイトとは異なり、「カナダでの実務経験」を積む機会として非常に重要な意味を持つ場合があります。特に、カナダの職場環境への適応、英語での実務経験ネットワーク形成、卒業後の雇用への繋がりという意味では、大きな価値があります。
ただし、注意が必要なのは、「Co-op経験そのものが直接永住権ポイントになるわけではない」という点です。
Q. トロントやバンクーバー以外の地方都市を選ぶことで、可能性が広がるケースはありますか?
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
はい、これは現在でも十分あり得ます。むしろ最近は、地方都市や地方の州の方がチャンスが残っているケースもあります。背景には、カナダ政府や各州政府が、「大都市への人口集中」をかなり問題視していることがあります。
そのため、Rural Community Immigration Pilot など、地方定着を目的とした制度が現在も複数存在しています。
次回以降のコラムで、どんどん深掘りしていきますので、ぜひ楽しみに待っていてくださいね!
これからのカナダ留学・ワーホリを迷っているあなたへ
大きな変化があったことはなんとなく知っていても、「実はよく分からない……」というお声を聞くことも多かったため、今回は上原さんにまず全体像を解説していただきました。
まだまだ新しい変更ばかりですから、ネット上で見かける過去の成功体験や情報には、制度変更「前」の古いものもたくさん混ざっています。ぜひこの記事を参考に、まずは正しい全体像を捉えていただければ幸いです。
それでは最後に、私からこれらの変更を踏まえて大きく変わった「これからの留学・ワーホリの戦い方」についてアドバイスです!
ワーホリ・Co-opでカナダでの就労や、可能性としての永住を考えている方へ
ワーホリは2回申請が可能になったため、最初からまず1年目は様子と考えている方も多いと思いますが、「やっぱり残りたい」というご希望は例年多いもの。「とりあえず行ってみよう」という考え方だけでは、時間と費用を使っただけで、次の選択肢につながりにくくなるリスクがあります。2回目を「保険」ではなく、限りある「持ち駒」として設計した方が、チャンスが広がる可能性が高いです。
また、カナダには既に、1回目経験者やCo-opの学生など、既にカナダの就職活動について一歩リードしている人たちも多くいることにも注意が必要です。これらの方々とポジションを競って行く、という前提を理解した上で、準備をすることが大切ですね!
Co-opについては、2026年5月現在、オンタリオ州トロントではかつてできた私立キャリアカレッジでのCo-opプログラムでは学生ビザが取れなくなったため、ここ3年は必然的にバンクーバーの学校にCo-opプログラムの希望者が集中している状態です。ワーホリ、Co-op、公立カレッジや大学の卒業生が同じような職種を目指す場面も多く、仕事探しの競争は以前より厳しくなっていると感じます。大切なのは、ワーホリやCo-opを「何のための期間にするか」という視点で設計することです。滞在中にどのような職歴を作るのか、次にどの選択肢を残すのか。渡航前の段階でここまで考えておくかどうかで、帰国後の状況は大きく変わります。
20代後半〜30代前半など、日本での社会人経験をもとにカナダを目指す方へ
社会人経験という強みがある一方で、年齢と残り時間という制約があります。30才まで利用できるワーキングホリデーはとても貴重なビザのため、安易に使用してしまわず、しっかり計画を立てましょう。35歳まで利用可能なRO(Recognized Organization)を通じたIEC参加も選択肢としてありますが、費用や枠、受付状況は限られており、常に利用できる前提で計画するのは危険です。また、移民への足掛かりとしてのカナダ進学ですが、PGWP取得⇒就労経験⇒移民申請は決して、約束された確実なルートではありません。このルートも以前より競争が上がっており、PGWPが取れたとしても、その後の就職・職種・英語力・永住権申請の条件はそれぞれ別に満たす必要があることは上原さんも説明してくださった通りです。
社会人経験があることは間違いなく強みです。ただ、その経験がカナダの制度の中でどう評価されるかは、職種や分野によって大きく異なります。年齢と残り時間から逆算して、どのルートが現実的かを早めに確認することが、特に重要です。
まとめ
2026年現在、カナダでの就労や永住権を目指す道が完全になくなったわけではありません。ただし、以前よりも、職種、専攻、英語力、年齢、職歴、ビザ制度、そして都市か地方かという地域の選択までを総合的に見ながら計画する必要が出てきています。
ワーホリ、Co-op、カレッジ進学はいずれも有効な選択肢になり得ますが、それだけで長期就労や永住権につながるわけではありません。大切なのは、自分の目的に合わせて、どのルートが現実的なのかを早い段階で確認しておくことです。
カナダ留学、ワーホリ、Co-op、カレッジ進学に関するご相談はMYNDSへ。
就労ビザや永住権など、移民制度に関する個別のご相談はQLSEEKER Canada Inc.へご相談ください。
✒️ 監修コンサルタント


上原 敏靖(Toshiyasu Uehara)
所属:QLSeeker Canada Inc. 代表
登録・会員:CICC会員(#R420631)/ CAPIC会員/ 東京都行政書士会
資格:カナダ政府公認移民コンサルタント
◼︎ 略歴・バックグラウンド
1987年慶應義塾大学商学部卒業、青山学院大学国際政治経済学部 修士課程(MBA)修了、東京都行政書士会所属。日系大手化学メーカーやデュポンにて、マーケティング、北米事業企画・法務等を担当。トロントのSeneca CollegeにてImmigration Practitioner CertificateをHigh Honours(最優秀成績)で取得。
2003年にQLSeeker社を設立し日本人のビザ・移民サポートを開始。2004年カナダ初のコンサルタント規制団体(CSIC)に入会し資格認定試験作成委員を務める。

