知らないと不法滞在に?カナダのビザとパーミット、よくある勘違い7選

カナダではビザや移民に関するアドバイス、申請代行は政府公認の有資格者が行うことになっています。
留学とビザは切り離せないもの。こちらではMYNDSが提携するKaede Immigration Servicesの代表・移民コンサルタント、阿萬さんより留学・ビザ・移民に関してご案内いただきます。
カナダ留学やワーキングホリデー、就労を予定されている方へ
カナダのビザ(査証)やパーミット(許可証)には複雑なルールがあり、知らないうちに違反してしまうリスクが潜んでいます。皆さんは、ビザやパーミットのルールを正しく理解できていますか?
「eTAがあるから滞在できると思っていた」「卒業後もスタディーパーミットで働けると思っていた」—実際、こうした誤解が不法滞在や不法就労につながってしまいます。
今月は、移民コンサルタントの阿萬さんに、実際によく寄せられる「ビザ・パーミットに関する勘違い」について、具体的に 7つご紹介いただきました。
これからカナダに渡航予定の方、現在滞在中の方も、ぜひチェックしてください。

阿萬さん
カナダのビザ(査証)やパーミット(許可証)について理解を間違えていらっしゃる方が多いと最近感じたので、今回はよくある勘違いについてお話しようと思います。
本記事では、カナダ政府公認の移民コンサルタントである阿萬さんが、正確な専門用語を用いて解説しています。たとえば、カナダで6ヶ月以上就学するために必要な「Study Permit(スタディーパーミット)」は、日本語では「学生ビザ」と呼ばれることもあります。ですが、ビザとパーミットは本来別物です。本記事では制度の正確さを大切にしつつ、皆さまにわかりやすくお伝えするため、必要に応じて補足(MYNDSメモ)を加えています。
- カナダの大学・カレッジ進学に興味がある
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Table of Contents
eTA
カナダに入国するためのビザであり、カナダに滞在するためのものではありません。
eTAでカナダに入国すると通常は6ヶ月間ビジターとして滞在できますが、入国審査官の判断で6ヶ月より短い滞在期限になることもあります。この場合は入国審査官がパスポートに滞在期限を手書きで記入します。6ヶ月、またはパスポートに記入された期限を超えてカナダに滞在する場合はビジターレコードの申請が必要になります。
スタディーパーミットやワークパーミットをお持ちの方が「パーミットの有効期限が切れてもeTAがあるのでこのまま滞在し続けられる」と勘違いされることもありますが、これは間違いなので気を付けてください。
また6ヶ月未満あればeTAで入国し、ビジターとして就学が可能です。
MYNDSメモ
「eTAがあれば滞在できる」と思っている方は本当に多いです!
eTAは「入国時に必要な電子渡航認証」であって、滞在中のステータスとは別物。
入国後は「自分の目的に合った許可証(ビジターレコードなど)」が必要になるケースがあります。
スタディーパーミット
カナダ国内で就学するための許可証です。
6ヶ月以上の就学には必ずスタディーパーミットが必要になります。スタディーパーミットがあってもカナダに入国するにはeTAが必要です。日本から一番初めのスタディーパーミットを申請し、それが承認されるとeTAがパスポートに紐づけされますが、パスポートを更新する場合は自身でeTAを申請しなくてはいけません。パスポート更新と同時にスタディーパーミット延長の申請をすれば、承認時にeTAが新しいパスポートに紐づけされます。
MYNDSメモ
“学生ビザ”という言葉もよく使われますが、カナダではStudy Permit(スタディーパーミット)が正式名称。
渡航前の申請時に、自動でeTAもセットで発行されますが、パスポート更新後などは再申請が必要になるので要注意です!
日本からスタディーパーミットとワーキングホリデーの申請をして、どちらも承認されていたAさん。スタディーパーミットで滞在後、ワーキングホリデーで滞在するプランでした。
スタディーパーミット期間中にパスポートをカナダで更新。学校卒業後にカナダ国外に旅行し、カナダ再入国時にワークパーミットを発行してもらう予定でしたが…
eTAを申請し直すのを忘れていたため、旅行先からカナダに向かおうとした際、空港で足止めに。空港ですぐにeTAを申請しましたが、承認されるまで数時間空港で待機し、1日遅れで帰国となりました。
ワークパーミット
カナダ国内で就労するための許可証で、就労するにはほとんどのケースでワークパーミットが必要になります。
ポストセカンダリーの留学生はワークパーミットなしで就労可能ですが、スタディーパーミットに「オフキャンパス・オンキャンパスで就労できる」との条件が記載されていなくてはいけません。
ワークパーミットがあってもカナダに入国するにはeTAが必要です。日本から一番初めのワークパーミットを申請し、それが承認されるとeTAがパスポートに紐づけされますが、パスポートを更新する場合は自身でeTAを申請しなくてはいけません。(パスポート更新と同時にワークパーミット延長の申請をすれば、承認時にeTAが新しいパスポートに紐づけされます。)
MYNDSメモ
ポストセカンダリー(Post-secondary)は中等教育(secondary education)の後の教育で、大学やカレッジ、専門学校などでの学習を指します。
スタディーパーミットで就労する際の条件については、スタディーパーミットの有効期限と就労に関する条件の項目をご確認ください。
就労が許可されるには、スタディーパーミットに就労可能の記載が必要です。
「パーミットを持っている=働ける」ではないので、就労を希望される方は、許可証の内容や条件を必ず確認しましょう!
レストレーション(ステータスの回復)
ビジターレコードやスタディーパーミット、ワークパーミットの申請が却下されたり、パーミットの有効期限が切れる前に延長申請をしなかった場合、カナダに滞在できる合法的なステータスがなくなってしまいます。この場合、レストレーション(ステータスの回復)申請が必要なのですが、「ドキュメントを揃えて一度カナダを出国してまた戻ってくればカナダ入国時に許可証を発行してもらえますよね?」と質問されることがあります。ステータスがない状況でカナダを出国するのは危険です。最悪の場合、カナダへの再入国が許されずに強制送還もありますので、レストレーション申請は必ずオンラインで行ってください。
MYNDSメモ
レストレーションに関連してエージェント現場からも!パーミットの有効期限ぎりぎりでの「滞在を延長したい」はよくあるご相談です!
滞在を延長する予定がある、滞在を延長すると決めた、という場合は期限前に余裕をもって延長申請を行うようにしましょう。ステータス喪失中に出国するのは大変リスクがあります。必ず、移民コンサルタントや専門家に確認を。
スタディーパーミットの有効期限と就労に関する条件
有効期限が長く残っていても、学校卒業後は自動的に90日で無効になります。また学校卒業後はスタディーパーミットでの就労はできないので注意が必要です。卒業後に就労するにはポストグラデュエーションワークパーミット(PGWP)やLabour Market Impact Assessment (LMIA)ベースのワークパーミットなどが必要です。
スタディーパーミットで就労するには以下の全ての条件を満たさなくてはいけません。学校を卒業すると条件を満たさなくなるので、スタディーパーミットでの就労はできなくなります。
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- Designated learning institution (DLI)のフルタイムの学生である。最後の学期のみパートタイムで可。
- 次のどちらかに在籍している
– ポストセカンダリーのアカデミック、職業訓練、または専門的な訓練プログラム
– セカンダリーレベルの職業訓練プログラム(ケベック州のみ) - 6ヶ月以上の長さで、学位、ディプロマ、サティフィケートが取れるプログラム。
- すでにプログラムが始まっている。
- Social insurance number (SIN)を持っている。
MYNDSメモ
DLI(Designated Learning Institution)は、カナダ政府が認定した学校リスト。
このリストに載っている学校にフルタイムで通うことが、就労条件を満たすための第一歩です。
コープワークパーミットについて
受講プログラムの総時間数の50%までしか就労できません。入学許可書にコープの時間数が記載されている場合もあるので、必ず入学許可書や学校に確認しましょう。またコープで働けるのは受講しているプログラムに関連する職種のみとなり、コープワークパーミットの有効期限が残っていても学校卒業後は就労できません。
MYNDSメモ
「ワークパーミットがあるから就労OK」と思ってしまいがちですが、実際には就労時間・業種・期間すべてに制限があります。
特に「卒業後は就労できない」という点は見落とされがちなのでご注意ください!
ワーキングホリデーについて
今年4月から日本人はワーキングホリデーに2回参加できるようになりました。ここで注意していただきたいのがワーキングホリデー申請中のステータスです。ワーキングホリデーの申請が完了したからといって自動的にステータスが延長になるわけではありません。学生やビジターからワーキングホリデー申請、または1度目のワーキングホリデー後に2度目のワーキングホリデーを申請する際は注意が必要です。
MYNDSメモ
ワーキングホリデーでカナダご滞在中の方から、「ワーホリの延長ができるようになったんですよね!」とご相談いただくことが多いです。
2回目の申請が可能になったとはいえ、「ステータスの自動延長」はされません。カナダ滞在中にワーキングホリデー申請をする場合、現在の滞在ステータスによっては合わせてビジターレコードの申請などが必要になる場合もありますので、早めの相談・確認をおすすめします。
まとめ
正しい知識がないと知らないうちに不法滞在や不法就学、不法労働してしまう可能性があります。日本語で書かれている経験者のブログなどを参考にされている方が多いですが、移民法やルールは常に変わります。個人のブログはあくまで「経験談」としてとらえる程度にしていただき、正しい情報の収集は移民局のサイトを読んだり、専門家に相談されることをお勧めいたします。
執筆者のご紹介
Kaede Immigration Services
移民コンサルタント 阿萬 ひとみさん(R512097)
Regulated Canadian Immigration Consultant (RCIC)でCollege of Immigration and Citizenship Consultants (CICC)メンバー
トロントを拠点にカナダのビザや永住権の代理申請のサポートを行っており、サービスは学生・就労ビザ、ワーキングホリデー、個人・結婚移民、雇用主が外国人労働者を雇うときに申請するLabour Market Impact Assessment (LMIA)など多岐に渡る。MYNDSのビザサポートの監修も行っている。
ウェブサイト:https://en.kaedeimmigration.com/
Kaede Immigration Servicesのサービス、阿萬さんへのインタビューも併せてご覧ください▼
カナダではビザ・移民に関するアドバイス、申請代行は政府公認の有資格者のみが行っています。Kaede Immigration Servicesは一人ひとりに合わせたアドバイスと手続きを丁寧かつ迅速に行っています。