苦手意識を克服、フィードバックとの上手な付き合い方
英語を第二言語として話す私たちが英語学習に励むにあたり、避けて通れないことのひとつにカナダ、北米文化の理解があります。英語初心者はまず単語を覚えたり、文法を使いこなすことによってより実践で伝わる英語、理解できる英語能力の獲得を目指しますが、ある一定のレベルに到達した際、文化的理解が欠けていることによって英語を通しての人間関係の構築、自己表現が難しいと感じることがあります。
皆さんはフィードバック(feedback)、という言葉を聞いたことがありますでしょうか。日本文化ではあまり馴染みのないこのフィードバックですが、カナダを含め北米で人間関係を築き上げるにあたり、非常に重要な概念ですので、今回はフィードバックについて、上手な付き合い方のご紹介です。
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目次
フィードバックとは?
日本語に直訳すると【反応】、【意見】や【帰還】と表現されるようですが、北米文化におけるフィードバックとは【評価】、【意見】、【感想】に近いかと思います。例えば皆さんのお友達でミュージシャンの方がいらっしゃるとしましょう。近しいお友達グループを招いて新曲を披露した後に、フィードバックをください、と意見や感想を求められることがあります。他の例として、職場で上司の方と面談をした際に、日頃の勤務態度やお仕事ぶりのフィードバックが与えられ、優れている点、以前より改善されたと評価される点とあわせ、今後さらに成長するにあたってのアドバイスが与えられることがあります。このようにフィードバックは他者と接する機会がある限り、皆さんが与える場面も、逆に与えられる場面も多々あります。
冒頭で苦手な方が多い、と書きましたが、フィードバックは日本文化においてあまり馴染みがないこと、また従来の日本の義務教育では自分の意見を持って人前で表現することをあまり重視されていないこともあり、日本人では苦手な方が多い印象にあります。逆にフィードバックを受ける側に立つ場合、耳の痛いことを言われるのでは、と不安な気持ちになったり、傷つくことを恐れてしまう方はカナダ人でも多くいらっしゃいます。特にお仕事に関して、100%自分は完璧、と自負できる方はあまりいらっしゃらないかと思いますので、フィードバックに苦手意識を抱き、できれば避けて通りたい、という気持ちはよく理解できます。ただ、一度苦手意識を払拭し、上手に付き合えるようになると、周囲との人間関係がとても円滑になる、周りの人をよりよく理解でき、自分に自信が持てるようになるなど、利点が驚くほどたくさんあるのです。
フィードバックを使いこなすことのメリット
私はカナダで様々な職種に挑戦してきましたが、新しい仕事をする度に自分が第二言語を話すスタッフであるため、人一倍努力して仕事を覚えなければ、という意識を強く持っていました。特に新人の頃は慣れないことの連続で、出来るようになったことよりも一人でできないことや、手間取ってしまうことに目を向けてしまいがちでした。そんな中上司の方から声をかけられ、元々持っている資質や日々業務を頑張っていること、初日と比べて成長した点を褒めてもらえることで、温かく見守ってもらえていることに気づき、自分なりに頑張って毎日の業務をこなしていけばいいんだ、と前向きな気持ちになりました。
日本では空気を読んだり、暗黙の了解といった文化がありますが、カナダを含め北米では何でも口に出して伝える文化が強く、特に褒めることの重要性は職場だけでなく育児や恋愛関係、第一印象を決めるテクニックとしても周知されています。人を褒めることは慣れるまで勇気がいったり、自分が褒めなくても相手はよく理解しているに違いない、と思いがちですが、誰もが振り向くような美人な方でも服装や髪型に少し自信がない日もあるように、わざわざ口に出して褒めなくていい、といったことは決してないかと思います。
人間関係において日本人の方は”thank you”と感謝を表出することは得意ですが、具体的には何に感謝しているのかをあまり表現していないと思います。”~をしてくれたお陰で○○がうまくいって助かった”、”••と言ってくれたことで~な気持ちになって元気がもらえた”など、何をどう感謝しているのか伝えることもフィードバックの一つです。”thank you” だけですと、先方は自身の行動や言動が感謝された、と理解しますが、内容が具体的であればあるほど今後の参考になりますし、助けてあげてよかった、良いことをしてあげたんだな、とより深い喜びを味わい、更に他の人にもいいことをしてあげよう、という気持ちになるかもしれません。
フィードバックの中には改善に向けてのアドバイス、中には批判に聞こえてしまうものもあるかもしれません。北米ではサンドイッチテクニックといって、褒めるコメントから始まり、今後の成長に向けての課題、最後は褒めるコメントで終わるテクニックが推奨されています。例えば従業員が遅刻の常習犯で、上司の方が注意をしなければならないとしましょう。その方の出勤直後に呼び出して、”今何時だか分かってる?”など説教をしてしまうと、怒られた側は子ども扱いされた気持ちになり、働く気持ちが失せてしまいます。一方、”最近お店がとても忙しい中、頑張って働いてくれてるね”など、ポジティブなコメントから始まり、少し遅刻が目立つこと、何か理由があるのか、などを尋ね、今後何か遅刻をする事情がある場合は知らせてほしい、といった解決策、また明るいムードで会話を終えることで前向きな関係維持ができることでしょう。
フィードバックを受ける際の注意
お仕事場で指導を受ける際、上司の方との個人面談などフィードバックを受ける場面はたくさんあることと思います。耳の痛い内容を受け取ることは勇気がいりますし、できれば避けたいと感じてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、フィードバックは自身の成長においてとても重要で、指導をされる方にとっても皆さんのためを思って伝えてくださっていることを周知しておく必要があります。
先方の中には半ば楽しんで小言を言う、少し意地悪な方もいらっしゃいますが、大半の方は皆さんを傷つけたくない一方、今後お仕事を続ける上で、またこれからの長いキャリア人生に少しでもプラスになるように、言葉を選んでフィードバックとして与えてくださいます。内容をしっかり理解できるまで聞き返し、曖昧なままで受け取らないこと、皆さん側から説明が必要な事情がある場合はしっかりお伝えした上で、有意義な会話とできれば理想的です。また、フィードバックは慣れることでより身構えずに受け取ることができ、慣れれば慣れるほど自然と自分からフィードバックを求めることが可能になります。
私はパブリックスピーキングを趣味とし、トーストマスターズのクラブに4年半在籍していますが、毎回人前で話す度にフィードバックが与えられます。アイコンタクトや話すテンポ、言葉の選び方などうまくできた点、改善が必要な点として頂くフィードバックは、今後の成長に繋がるだけでなく、フィードバックを受けとり慣れることで傷つくことが減り、いかにしてフィードバックを受け取る、与えるという行為が周囲との人間関係を円滑にし、信頼関係を強めるのか、強く実感しました。同時にトーストマスターズでは相手が傷つかないようなフィードバックの与え方の練習ができるメリットがあります。第二言語を話す私たちは話す英語が直接的になりがちですが、英語では遠回しに、かつ効果的にフィードバックを与えるフレーズがたくさんあります。お仕事場で新人さんのフォローをする際など、皆さんでもフィードバックを与える場面に遭遇することがあるかと思いますので、興味のある方はパブリックスピーキングのサークルなどに参加されてもいいかもしれません。
今回は日本人の方にとって苦手な方の多い、フィードバックについてご紹介しました。フィードバックを与える際、受け取る際の双方においては高い英語力が求められるため、自分の意見を的確に伝えること、先方のオブラートに包んだ助言をしっかり理解することを難しいと感じる方も多いかと思います。ご渡航後しばらく経って、日常会話には困らない程度の英語力を獲得された方や、大学・カレッジに通学される方も、フィードバックを通してご自身の英語力を見直し、適切なフィードバックをするために映画やドラマなどから表現を学ばれてもいいですね。フィードバックはカナダで生活、お仕事をされる上で避けて通れない概念ですので、今回ご紹介した内容を参考にうまく付き合い、人間関係の向上、信頼を高めるツールとして活用いただければと思います。
ライター Aki
ワーホリ、学生ビザ等でのカナダ留学歴約3年半、カナダ移民歴6年のビクトリア在住女性。
飲食店や介護施設、サービス業など幅広い業種を経験した後、ブリティッシュ・コロンビア州の保険資格を取得し、現在保険会社にて顧客対応、管理業務に従事している。
趣味はパブリックスピーキング、ズンバ、ヨガなど。
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