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vol.21 カナダ人と働く、その「伝わった」は本物か

新企会主催・カナダ人材と働くためのマネジメント向けセミナーのレポート

 

迷ったときに読みたい、留学コラム

留学中やその前後に、多くの人が直面する迷いや不安について、現場経験から感じたことをまとめています。MYNDS代表・海野芽瑠萌による、実体験に基づく留学コラムです。

今回は少し趣が違い、私自身が主催側として関わったセミナーのレポートになります。ただ、カナダで仕事をすること、人と働くことの難しさや奥深さは、留学を通じてキャリアを考えている方にとっても、決して遠い話ではないと思い、ご紹介させて頂きます。

スタッフ紹介はこちら

スモールビジネスオーナーたちのコミュニティ

先日、私が会長を務める新企会(しんきかい)主催のマネジメント向けセミナーを開催しました。

新企会は1978年設立のトロントを拠点とする日系ビジネスコミュニティで、日本人・日系のスモールビジネスオーナーを中心としたネットワーク組織です。

私は留学エージェントという立場でこのコミュニティに関わっていますが、ここで出会う人たちの多くは、飲食・不動産・会計・コンサルティング・美容など、それぞれの分野で現地に根ざして仕事をしているビジネスオーナーや経営者たちです。

今回のセミナーのテーマは「カナダ人材と働くための判断設計」で、ファシリテーターは、2度のTEDxスピーカーでもある異文化コミュニケーションの専門家、John Edward McGraw氏です。

MYNDSで行ったキャリアセミナーでもお話いただいたことがあるので、弊社のセミナーで顔を見たことがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。

John氏は、日本でも働いていたことがあるため、日本人×カナダ人の文化の違いに非常に深い理解を持っています。

カナダ人スタッフへの仕事の任せ方、意思決定の場での関わり方、採用プロセスにおける前提のすり合わせなど、日本人マネジメント層が現場でつまずきやすい場面を取り上げ、具体的なフレームワークを用いながら参加者と一緒に考えていくスタイルで開催されました。

参加者は、現地のレストランマネージャーのような方から、商工会のメンバー企業や各業界で知られた企業のマネジメント層まで、幅広い顔ぶれが集まりました。業種も規模もさまざまでしたが、「カナダ人スタッフと働く中で感じる難しさ」という点では、参加者全員に共通する部分があったと思います。

「Yes」の意味、「Let me think about it」の意味

セミナーでは、「カナダ人スタッフがYesと言ったとき、本当にYesなのか」という問いかけから始まるケーススタディを扱いました。

さらに、マネジメント側が使いがちな「Let me think about it.」という言葉についても深く掘り下げられました。

日本語でいえば「少し考えさせてください」という表現ですが、それが「検討中」なのか、事実上の「お断り」なのかは、文化的な文脈によって大きく異なります。

この曖昧さが、双方の認識のズレを生み、仕事上の判断のズレ、進み方のズレを生んでいくことになります。

そのプロセスをケースとして追いながら、参加者それぞれが「自分にも思い当たる場面がある」と感じていたようでした。

何年もカナダで働いているマネージャーたちが、「自分もよくある」「どうすればいいか迷っている」と声を上げており、関心の高いトピックでした。

チャンスは、準備が整う前にやってくる

カナダでのキャリアやマネジメントの機会というのは、「もう少し準備ができてから」と思っているうちにやってくることも多いと思います。

今回の参加者の中には、現地レストランのマネージャーの方もいらっしゃいましたが、元々が留学やワーキングホリデーで一生懸命働いているうちに気付けば今のポジションに就いていた、という方もいるでしょう。

英語に十分な自信がついてから、文化への理解が深まってから、と待っていると、気づけばそのチャンスは別の誰かのところへ行っています。準備が整った状態で始まるよりも、走りながら学んでいく場面の方が、海外では圧倒的に多いと言えます。

私自身、これまでにカナダで100人以上のスタッフを雇用し、学校や各取引先のカナダ人と仕事をしてきましたが、コミュニケーションについてはまだまだ学ぶことも多く、課題を感じています。

経験を積んでも、新たな気づきが出てくるのが、異文化でのコミュニケーションの奥深さだと思っています。

長く働いていても、常に学びの機会がある

今回のセミナーは告知直後から予約が多く入りました。それだけ、多くの方がこのトピックに課題や関心を持っている証拠だったのかなと感じています。

カナダで長く働いている人たちも、今も問いを持ち続け、学びながら仕事をしているという感覚を共有できたことだけでも、セミナーをやってよかったと感じます。

現地で何年も働いている人たちが、今もコミュニケーションの前提を丁寧に確認しながら、日々試行錯誤を重ねています。それを知ると、今からカナダで就職を考える方々も、「今の自分にはまだ早い」ではなく、「誰もが途中にいる」と思えて安心できるように思います。

まとめ:伝わっているかどうか、確かめながら進む

カナダで長く働いているベテランのオーナーやマネージャーたちも、コミュニケーションについては今も試行錯誤を続けています。

それは、能力の問題ではなく、異文化の中で仕事をするということが、本質的にそういうものだということだと思います。

留学やワーキングホリデーを経てカナダでのキャリアを考えている方にとって、語学力と同じくらい、あるいはそれ以上に、「伝わっているかどうかを確かめながら進む」という姿勢が、長く仕事を続けていく上での土台になるのかもしれません。

MYNDSでキャリアを見据えた留学をサポートする際も、単なる英語力だけでなく、こうした現地ビジネスのリアルな感覚を伝えていきたいと考えています。

このコラムが、カナダで働くことへの解像度を少し上げるきっかけになれば嬉しいです。

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