カナダで市販薬 (OTC) を購入するときのポイント|留学生向け・解熱鎮痛剤ガイド

留学中は体調管理を心掛けたいところですが、住む環境の変化や季節の変わり目など、気を付けていても体調を崩してしまうことがあります。また、日本に居る時と同じように、風邪や頭痛、生理痛など、体調不良に見舞われることは珍しくありません。
そんなとき、すぐに医師にかかるのはハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。海外で生活している、どうしても医師の受診を躊躇したり、仕事や学校に忙しかったり、手軽に買える市販薬で治るものなら治してしまいたい!と思う方も多いはずです。
カナダでは、薬局やスーパーで気軽に購入できる「市販薬(OTC薬=Over-the-Counter medicine)」が多く存在します。しかし、実際に薬局に行ってみると、同じようなパッケージの薬がたくさん陳列されている上に、成分も小さい字でびっしりと書かれていて、どれが良いのか迷ってしまいますよね。市販薬とは言え薬は薬、むやみに服用するのは心配です。
こちらの記事では、カナダで購入できる主な市販薬の中でも、皆さんがよく利用している解熱鎮痛剤について、日本の薬との違いや注意点も含めて詳しくご紹介します。留学生・ワーホリの方の体調管理に、ぜひお役立てください。
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Table of Contents
市販薬(OTC)とは?
市販薬は医師の処方箋がなくても薬局やスーパーなどで購入できる薬のことです。一般的に英語では、“Over-the-Counter (OTC) medicine”と表現され、「薬局のカウンター越しに買える薬」を意味します。市販薬は頭痛や発熱、生理痛など、軽度な体調不良に対処するために用いられます。
カナダでは薬の分類が細かく分かれており、販売方法も異なります。
| 分類 | 内容 | 購入方法 |
| Schedule I | 処方薬(医師の診断が必要) | 処方箋のみ |
| Schedule II | OTCだが薬剤師の対面確認が必要 | 薬局カウンター越しに |
| Schedule III | 店内陳列OK | 薬局内の専用棚から(薬剤師の近くで購入) |
| Unscheduled | 完全な市販薬 | スーパーやコンビニでも購入可 |
カナダの代表的な解熱鎮痛剤と成分
カナダでよく使われる市販の解熱鎮痛剤には、以下の3種類の成分が使われています。
| 成分 | 主な効果 | 向いている症状 | 商品例 |
| アセトアミノフェン(Acetaminophen) | 解熱・鎮痛< | 軽い頭痛、風邪、生理痛 | Tylenol、Tempra(小児用) |
| イブプロフェン(Ibuprofen) | 解熱・鎮痛・抗炎症 | 関節痛、筋肉痛、月経痛 | Advil、Motrin |
| アスピリン(Aspirin/アセチルサリチル酸) | 解熱・鎮痛・抗血栓> | <高熱、血栓予防(成人) | Aspirin(Bayer) |
パブロン、ノーシン、新セデス:アセトアミノフェン
バファリンA:アスピリン
バファリンルナ、EVE、ナロンエース:イブプロフェン
製品別の特徴と注意点
Tylenol(タイレノール)
成分:アセトアミノフェン
比較的副作用が少なく、幅広い年代で使用可
発熱や軽い頭痛向け
Advil(アドヴィル)
成分:イブプロフェン
炎症を抑える効果があり、生理痛や関節痛にも
空腹時は胃に負担がかかることも
Aspirin(アスピリン)
成分:アセチルサリチル酸
血液をサラサラにする作用あり
胃が弱い人や小児は避けた方がよい

よくあるケース別:購入時の例
①授業中に頭が痛い → Tylenol(眠くなりにくく安全)
②生理痛がつらい → Advil(抗炎症効果で痛みを緩和)
③熱と喉の痛み → 複合風邪薬(DayQuil/NyQuilなど)
※ブランドによって同じ名前でも成分構成が違うことがあるので、購入前に必ず裏面をチェックしましょう。
出典:HealthLink BC::Pain Management
日本との違いと注意点
成分名や単位の違い
例:アセトアミノフェン → Acetaminophen(米系)、Paracetamol(英系)
成分量が多いことがある
例:Tylenol Extra Strength 1錠にアセトアミノフェン500mg。
日本の一般的な市販薬(例:ノーシン)は1錠あたり約300mg程度のものが多く、カナダ製品は成分量がやや多めです。このため「効き目が強い」と感じる方もいますが、その分、過剰摂取のリスクも高まるため、用法・用量を守ることが重要です。
複合薬が多い
複数の成分が一緒に配合されていることが多く、併用に注意が必要です。
薬局で使える英語フレーズ集
薬剤師に症状を伝えるのが不安な場合でも、シンプルな英語で意思表示をすることができます。以下に、留学生に役立つ表現をいくつかご紹介します。
頭痛があるので、市販薬を探しています。
胃に優しい鎮痛剤はありますか?
生理痛に効く薬を探しています。
今使っている薬と併用しても大丈夫ですか?
自分に何が合っているのかよく分かりません。アドバイスをいただけますか?
これとあれでは何が違うのですか?
注意すべき副作用や相互作用はありますか?
眠くなりにくいものはありますか?
空腹時に飲んでも大丈夫ですか?

よくある質問(FAQ)
A. はい、個人使用目的でかつ最大90日分程度までなら、ラベル付きの元のパッケージに入れて持ち込むことが可能です(Health Canada:Bringing health products into Canada for personal use)。
ただし、液体・ジェル状の薬は航空会社・安全検査の規制対象となることがあります。また、麻薬指定成分や一部の処方成分は持ち込み制限の対象となっており、制限品に該当する場合は入国が困難になる可能性があります(Canada Border Services Agency (CBSA):Restricted and prohibited goods)。
詳細は必ずカナダ政府公式ウェブサイトやTravel.gc.ca のガイドをご確認ください。
A. はい。カナダでは、Children’s Tylenol(小児用アセトアミノフェン)やChildren’s Advil(小児用イブプロフェン)など、発熱や痛みの緩和に使われるOTC薬が市販されています。
6歳未満の子どもには、咳止め・風邪薬(複数成分配合)は副作用や効果が不確定であることから、Health CanadaもCanadian Pediatric Society(カナディアン小児科学会)も使用を避けるよう警告しています 。(Concerns about children’s medication)
発熱や痛みの場合でも、必ず年齢・体重に応じた用量を遵守し、小児用パッケージに記載の「Drug Facts」ラベルを参照するか、必要に応じて薬剤師に相談してください 。
A. カナダでは、以下のようなドラッグストアや大手スーパー内の薬局(Pharmacy)で、市販薬(OTC薬)を購入できます。<主な購入先>
Shoppers Drug Mart(ショッパーズ・ドラッグ・マート)、Rexall(レクソール)
… カナダ全国に展開する大手ドラッグストア。処方薬やOTC薬から日用品まで幅広く扱っています。
Walmart(ウォルマート)、Metro(メトロ)、Sobeys(ソービーズ)など
… 大型スーパー内の薬局(Pharmacy)で、薬剤師が常駐しています。
店内の「Pharmacy(ファーマシー)」カウンターには薬剤師(Pharmacist)が常駐しており、薬の選び方や飲み合わせの相談も可能です。処方箋なしでも相談できるので、英語が不安でも遠慮せず声をかけてみましょう。
2023年以降、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)やオンタリオ州などでは、薬剤師が一定の症状(頭痛、生理痛、軽い風邪など)に対して薬の処方を行うことが可能になりました。これは、医療アクセスの改善を目的とした制度です。
※ただし、一部の薬局では対応していないため、事前に確認が必要です。
参考:Ontario Ministry of Health:Expanding Pharmacist Prescribing
体調が不安なときは、一人で悩まず、医療機関や薬剤師に相談を
少しくらいの体調不良は、医療機関に頼らず、市販薬で何とかしたいと思いますよね。市販薬の種類は豊富で効能は異なりますので、自分の症状に合うものが分からない場合は迷わず薬剤師に相談してみてください。
また、カナダで購入できる市販薬(OTC薬)は、風邪や頭痛などの軽い症状に役立ちますが、あくまで対症療法にすぎません。
症状が数日以上続く場合や、強い痛み・発熱がある場合は、無理をせずに早めに医療機関を受診しましょう。
健康に不安があるときこそ、早めの対応が大切です。
英語での医療相談に不安がある方は、MYNDSが提携しているYOKUMIRUの日本人医師によるオンライン医療相談サービス(24時間対応)のご利用をおすすめします。


