カナダ就職Q&A(よくある質問と回答集)
カナダでは、条件を満たせば学生ビザの範囲内でも就労が可能です。ワーキングホリデービザであれば、雇用主に縛られず自由に働くことができます。ビザの種類によって働ける条件が異なりますので、それぞれの仕組みや規定を理解した上で、就職活動を始めましょう。
カナダでの就職活動は、日本とは異なる点も多く、戸惑うこともあるかもしれません。学生時代のアルバイト探しや、ワーホリ中の仕事、卒業後の就職など、実際に多く寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
Co-op留学・カレッジ/大学進学などをお考えの方は、各項目のQ&Aも合わせてご覧ください。
Table of Contents
ビザと就労資格
カナダの高等教育機関(Co-op校・公立カレッジ・大学)への入学が決まっています。いつから働くことができますか。
就学を開始してから働くことが可能です。たとえプログラム開始前に渡航し、有効な学生ビザが発行されていても、その時点では就労は認められていませんのでご注意ください。
カナダの就労ビザがなくても仕事を探すことはできますか?
ワーキングホリデーの許可書を持っている方や、高等教育機関の入学が決まっていてプログラム開始を待っている方であれば、事前に就職活動だけを進めることは可能です。
ただし、実際に働くためには「SIN(社会保障番号)」の取得が必要です。これは、有効な就労ビザ(または就労が許可されている学生ビザ)をもとに手続きする必要があります。SINは雇用開始から3日以内に雇用主に提示することが義務付けられているため、取得を忘れずに行いましょう。
ワーキングホリデーは、雇用主を選ばずに就職できる自由度の高いビザですが、あくまで、若者の二国間の文化交流・体験などを目的としており、最初から現地の特定の企業への就職を元にワーキングホリデーに参加することを想定していません。外国人が、企業のサポートを受けて就労ビザを取得するためには、別途、厳格な手続きがあります。特定の会社に就職が決まり、その後でビザの相談をされる場合は、資格のある移民コンサルタントなどにご相談ください。
ワーホリ・Co-op後に、カナダの雇用主/企業からサポートを受けて就労ビザを取得し、就労を継続したいのですが。
就労ビザサポートを受けることを、「企業にビザを出してもらう」と表現されることがあるため誤解されやすいのですが、外国人労働者の就労ビザは、国の労働局の審査が必要です。手順や必要なステップも厳格に決まっており、ご自身と企業の同意のみでは、就労ビザの発給を受けることはできませんのでご注意ください。カナダ国民や永住権保持者の雇用の機会を外国人労働者が奪ってしまうことのないよう、失業率の高い特定の都市では、新たな申請自体ができないということもあります。特に2024〜2025年にかけて制度改正も行われているため、就労継続について雇用主と話が出ている場合は、できるだけ早めに、資格のある移民コンサルタントなどの専門家に相談されることをおすすめします。
ワーキングホリデーを1度使用してしまった後で、カナダで就労をしたい場合はどのような方法がありますか。
2025年5月に、日本人のカナダのワーキングホリデーは、年齢などその他の要件を満たす場合は2回目の申請が可能となりました。年齢要件(30歳まで)を満たさない場合は、ROワーホリ(特定の留学エージェントなどRecognized Organizationが枠を持っているワーキングホリデー)が利用可能です。枠に限りがあることと競争率が非常に高いため、検討を始めた時点で、必ず早めに各団体へ問い合わせるようにしましょう。
また、高等教育機関(Co-opプログラム、公立カレッジ、大学など)へ進学した場合、在学中には週24時間、学校の休暇期間にはフルタイムでの就労が認められています。卒業後にはPGWP(ポスグラビザ)という就労ビザの取得が可能なプログラムもあり、キャリアの継続につなげやすい制度です。

カナダの語学教育機関の取りまとめ団体であるLanguages CanadaをRecognized OrganizationとするROワーホリについては、こちらの案内をご覧ください。
仕事探しについて
留学エージェントで、仕事の紹介はしてもらえますか?
多くの留学エージェントでは、直接的な仕事の紹介は行っていません。ただし、現地でのネットワークを通じて、「こういった人材を探しているので、ワーキングホリデーやカレッジ生で該当する方がいれば紹介してほしい」といった依頼を受けることはあります。
また、在席している学生やワーホリの方からの引き継ぎや、知人紹介などの情報が入ることもあります。そのようなケースでは、ウェブサイトやメンバー限定のメーリングリスト、LINEグループなどで募集情報が告知されることもあります。
カナダ就職を手伝ってくれる、就職エージェントはありますか?
日本でもよく知られている人材派遣会社、たとえばパソナなどはカナダにも事業所がありますが、全体としては数は多くありません。北米式の就職活動では、広く公募される求人よりも、コネクションやスカウトなど限られたルートで決まるケースが多く、表に出てこない「非公開求人」が非常に多いと言われています。
そのため、日本のようにエージェントに求人情報を出してもらい、面接を手配してもらって就職を決めるというよりは、自分でレジュメ(英文履歴書)を配ったり、ネットワーキングを通じて人脈を広げながらポジションを探していくスタイルが一般的です。エージェントに登録しても、情報提供だけで終わる場合もあるため、エージェントはあくまで補助的な役割と捉え、就職の主体は自分自身であると考えた方が良いでしょう。
カナダ全土で、労働者側から手数料を受け取っての就職あっせんは、搾取防止の観点から原則禁止となっています。オンタリオ州では、24年7月1日より労働者向けのリクルート事業はライセンス制・免許制となっていますので、無許可の個人・法人が、職業のあっせんをすることはできません。リクルートエージェントは、通常は、企業側の採用のプロセスを一部代行することで、雇用主(企業)側から手数料を受け取って運営しています。留学エージェントなどを通じて就職先を紹介してもらう際に、手数料の支払いを求められた場合は、それが正当な費用なのかどうか、よく考えて判断することが大切です。
カナダの就職情報はどこで得たらいいのですか?
カレッジや大学などの高等教育機関に在籍している場合、就職フェアへの参加や、プログラムに関連する企業の求人情報へのアクセス、キャリアセンターによる就職サポートなど、在校生向けのリソースが数多く用意されています。在学中から積極的にこうした機会を活用することをおすすめします。
ワーキングホリデーで滞在している方の場合も、語学学校によってはレジュメの添削や就職サポートを提供しているところがあります。不安がある場合は、こうしたサポートの有無を事前に確認し、対応している学校を選ぶと安心です。
また、地域の図書館などでは、就職をテーマにした無料の情報セッションやワークショップが開催されていることもあります。永住権保持者や市民権のある方だけでなく、誰でも参加できるものも多いため、地域のイベント情報にも目を向けてみましょう。
カナダの職歴がなく、カナダのリファレンス(推薦人)を立てられない場合はどうしたらよいのですか
カナダの就職活動では、採用前に「リファレンスチェック」が行われることが一般的です。これは、求職者がレジュメに記載した職歴やスキルに間違いがないか、過去の勤務態度やチームとの協調性などに問題がなかったかを、元上司や同僚などに確認するプロセスです。採用の最終判断に関わる重要なステップとされており、「盛った経歴」や問題行動の有無を見極める手段でもあります。
カナダでの就労経験がなく、現地のリファレンスがいない場合は、日本の元上司などに依頼する方法や、仕事関係ではないものの人柄を証明してくれる「パーソナルリファレンス(友人、教師など)」にお願いすることも可能ですが、その評価は企業側の判断に委ねられます。まずはボランティア活動を通じて現地での仕事に準ずる経験をし、ボランティア先のスーパーバイザーや担当者にリファレンスを依頼するのも有効な方法です。

企業でのボランティア・無給インターンは違法ですか?
州の労働規定や、申請者の就労ステータスによって判断が異なりますが、原則として、営利目的で運営されている企業における業務には給与の支払い義務があります。カナダでは、「業務内容が実質的に労働と見なされる場合」に無給での労働を提供することは、労働法違反となる可能性があります。例外的に、学校を通じた正式なCo-opプログラムなど、教育的目的に基づくインターンは認められることもあります。渡航する州や、個別の状況によって扱いが異なるため、事前に確認しましょう。
就労について
現金で仕事をするのは違法ですか?
現金で給与を受け取ること自体は違法ではありません。例えば、飲食店でのチップを営業終了後に現金で分配する、一度きりの簡単な作業に対して現金で支払われるといったケースは、カナダでも一般的です。ただし問題となるのは、雇用主が給与明細(Pay slip)を出していない場合や、税金や保険料の控除がされていない状態で給与を現金支払いしている場合です。このようなケースでは、年末のタックスリターン時に、受け取った所得に対してご自身で申告・納税を行う必要があります。
正しく源泉徴収されている場合は、年末に雇用主からT4(年間の給与と控除内容をまとめた書類)が発行され、それをもとに確定申告を行います。T4を受け取っていない場合や、不明点がある場合は早めに確認しておきましょう。
Probation期間が3ヶ月と言われましたがどういう意味ですか?
いわゆる日本の「試用期間」のことです。カナダでは、多くの雇用契約において最初の数ヶ月(一般的には3か月程度)が「Probation(試用期間)」として設けられており、この期間中に、雇用主が従業員としての適性を見極める仕組みになっています。ただし、日本と異なる点として、カナダではこの期間中に雇用主が「合わない」と判断した場合、期間満了を待たずに終了されることも珍しくありません。 たとえば、勤務開始から1週間や1ヶ月といった早い段階で契約が終了となるケースもあります。
「最初の3か月間でトレーニングを受けて、それが終わってから本領を発揮すればいい」と構えていると、雇用主の期待とのズレが生じてしまうことがあります。初日から職場の一員として成果を出す姿勢が求められる点は、日本との大きな違いの一つです。
雇用は口頭でも成立しますか?
はい、カナダでは口頭での雇用合意も法的には有効とされる場合があります。ただし、後々のトラブルを防ぐためにも、雇用契約書(Employment Contract)を可能な限り発行してもらうことをおすすめします。
契約書には、給与や勤務時間といった基本的な雇用条件のほか、試用期間や解雇に関する規定なども含まれます。書類の形式は企業によって異なり、数ページ程度の簡単なものから、複数ページに及ぶ詳細なものまで様々です。
契約書内の、Job description(職務内容)や、Non-competition(競合禁止)に関する規定、Termination(解雇や契約終了)についてなどは目を通しておきましょう。AIツールに要約してもらうのも一案です。口頭で確認したこと以外の内容も、契約書内で確認が必要です。カナダは契約社会であり、「口頭で聞いていた内容と違う」「読まずにサインした」は通用しません。特に、将来的に独立や転職を考えている方は、競業に関する条項が大きな制約になる場合もあるため要注意です。内容をしっかり確認し、納得した上で署名するようにしましょう。
アルバイトや仕事の掛け持ちは可能ですか?
可能です。特にワーキングホリデーのビザの場合は、Open(雇用主を選ばない)ビザのため、自由度が高いです。メインでレストランで働き、在宅・フリーランスの仕事も持つ、など複数の仕事を掛け持ちしても問題はありません。
学生ビザで在学中の方(Co-opやカレッジのプログラムなど)も、週24時間以内という就労上限を守れば、掛け持ちは可能です。 学業とのバランスや体調管理にも気を配りながら、無理のない範囲で働くようにしましょう。
24時間の上限について、現時点では、労働局・財務局などのシステムと、移民局が直接連携をして、皆さんが実際に何時間働いているのかを直接モニターし、違反があれば即通知されるような制度にはなっていませんので、バレずに24時間以上働くことができている、という話を聞く方もいるかもしれません。ただ、万が一、移民局が調査を行った場合に、雇用主が発行するRecord of Employment(離職票)、T4(カナダ版の源泉徴収票)、給与明細などの記録をもとに規定違反が発覚する可能性は十分にあります。規定超過による就労は不法就労とみなされ、将来のビザ申請や滞在資格に大きな影響を及ぼすリスクがありますので、必ず規定の範囲内で働きましょう。
仕事を辞めたい時はどうしたらよいですか?
こちらでは、2 weeks notice(2週間の告知)が一般的です。ただ、会社によって規定が異なるので、雇用契約書も確認ください。退職・転職は当たり前の文化のため、強く引き止められたり、思いとどまるよう説得されたりということはあまりありません。特に、学生ビザの範囲内や、ワーキングホリデーなどでビザの期限が決まっている場合、帰国日が決まっているなどの場合は、雇用主側に早めに伝えておけばスムーズです。
カナダの就職文化では、現在の上司や雇用主が次の就職先への「リファレンス(推薦人)」となることが非常に多いです。そのため、辞め方が不誠実だったり、急な退職でトラブルになったりすると、次の就職活動に悪影響が出る可能性もあります。特に、2回目のワーホリ申請や、PGWPから永住権を目指すなど、長期的にカナダでのキャリア構築を考えている方にとっては、1つ1つの職場で信頼を積み重ねることが大切です。