【帰国後就活】海外駐在員として働くということ【海外で働きたい】
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目次
初めに&結論
カナダでの生活真っ最中、もしくはこれから旅立とうとしている方の中には、将来は海外で働くことを夢見ている人も多いと思います。
しかし、海外で働くことを実現するためには、ビザという最大の問題解決に苦労しつつ、移住費用の捻出や中長期のキャリア・ライフプランの構築など様々なハードルを乗り越える必要があります。
特にビザ問題は、そう簡単に海外で自由に働くビザが降りる手段・国というものは無く、高い専門性がない限り海外に就職先を見つける(そして労働ビザの取得をしてもらう)ことは難しいのです。
そのビザ問題を解決し、かつ収入・キャリアプラン面まで漏れなく付いてくる方法が、
海外駐在員として海外で働く
という方法です。
カナダでも各都市で駐在員という肩書きの方は数多く住んでいますよね。
この駐在員、海外滞在の方法としてはなんだかすごくオイシイ気がしますよね?
でも、オイシイ話には注意すべき点もたくさん潜んでいます。
ということで、今回の記事では駐在員を深く知り、目指す上での注意点もお話ししていきます。
※私は過去に、常時600名の海外駐在員が世界中で活躍しているグローバルメーカーの企業人事として、多くの駐在員を送り出し、また駐在員のサポート業務を行なっていた経験があります。
1.駐在とは何か?
まずは、海外駐在の目的や駐在員を要している企業の特徴などについて理解をしましょう。
1.1. そもそも海外駐在とは
そもそもなぜ企業が駐在員を海外に派遣するのでしょうか?超基本の確認です。
それは、日本企業が海外市場でビジネスをしたいからです。
これは別の記事でも書きましたが「日本にいる外資系企業」をイメージし、その逆を考えるとわかりやすいです。
日本市場を相手にビジネスをするために
日本に拠点を置いて活動している外国生まれの企業。
社長やマネジメントクラスは本国(ヘッドクォーター)から送り込まれている人材が多い
という特徴がありましたよね。
この全く逆のことをやっており、
・日本企業が海外市場を攻略するために、現地に支社や合弁会社等を作り
・そこに、日本の本体の企業(ヘッドクォーター)から駐在員を送り込んでいる
ということになります。
ちなみに、”送り込む”を少し掘り下げると、日本の企業に属した状態(※)で、ビザも一生ものではないので、いつかは日本の本体の企業の在籍に戻ることを前提としています。
滞在のビザは国ごとに異なりますが、いわゆる「就労ビザ」の括りのものを取るケースがほとんどなので、基本的には滞在期間は制限があるものが多いです。(更新できるビザも多いですが)
※駐在時の在籍扱いのパターンには、出向・転籍・配置転換など様々な形態がありますが、どんな在籍形態であれ基本的には「日本の本体の企業の人」という意識がほとんどです。
1.2. 駐在の目的・役割
ここで疑問なのが、なぜ日本の本体からわざわざ駐在員を派遣する必要があるかということ。
駐在の目的や役割は企業や事業フェーズによって本当に様々ですが、総じていうと
「本国流をフィットさせる必要があるから」
となると思います。
この意味は、立ち上げから成功への過程を考えるとわかりやすいのですが、
立ち上げ時: 本国の社員を中心に、本国のノウハウを使いながら市場進出を模索していく
成功時: 現地の社員だけで本国の考え方に則ってビジネスを進められる
企業が海外市場進出を目指す際には、当たり前ですが長期的な成功を考えています。
そうなると、常時本国から駐在員が入れ替わり立ち替わりで多くの人数を送り込み、手取り足取りマネジメントし続けるというのは非効率です。
だから最終的には、現地の社員だけで本国と同様のパフォーマンスを出せるようになる(現地化する)ことを目指します。
上記の”本国流をフィットさせる”ということを課題で表すと、例えば下記が挙げられます。
・事業、営業拠点、生産拠点などの立上げ
・開発や生産の技術の伝承
・経営管理、事業管理、プロジェクト推進
・本国で使用しているシステムの導入、統合
・現地社員のマネジメント、育成
課題の種類や解決に必要なスキル・知識などは本当にさまざまですが、基本的にはこのような課題に対してそれを解決できる人材が送り込まれるというイメージです。
1.3. 駐在が多い業種や職種
別記事でも書きましたが、下記の業種・職種が駐在員の派遣が多い仕事となります。
企業検索の参考にしていただければと思います。
業種: 大手メーカー、総合商社、銀行、海運、専門商社、鉄鋼・エネルギー系
職種: 営業、経営企画・管理、工場系エンジニア、経理、建設系・プラント系施工管理など
駐在員が多い企業は、売上規模の大きい大手企業が圧倒的に多くなります。
2. 駐在とキャリア
では次に、駐在員になるにはどんなキャリアを積めば良いのか?を見ていきましょう。
また、一生海外駐在員でいる可能性はかなり低いので、日本に帰国後のキャリアについても見ていきます。
2.1. 駐在員に求められるスキル
上記の駐在の目的でも触れましたが、あくまで駐在先の課題に対してそれを解決できるスキルを持っているかが重要となります。
そのスキルをいくつかのタイプに分けて考えてみます。
1)マネジメント系スキル
社長、部長、工場長、課長など、いわゆる経営をする・管理する・組織を束ねるといった役割のスキルとなります。
マネジメントと言っても、経営における人・モノ(サービス)・金の全てのマネジメントスキルが必要な課題もあれば、特に人材マネジメントスキルが必要な課題など、そのマネジメント範囲や規模は大小さまざまです。
2)専門職スキル
エンジニアリング、財務、プロジェクト推進、事業企画、営業など、スキル=職種名そのものという理解になるかと思います。
この手の専門スキルを磨いている人は、同時に1)のマネジメントまで経験している場合もありますが、そうでない職人・スペシャリストと呼ばれる人でも白羽の矢が立つケースは多いです。
駐在先から見ると、本国のやり方が”最先端”のケースは多いため、何か問題が発生した場合は本国で経験を積んでいる社員が先生のような立場で現地に出向くイメージです。
3)業務遂行スキル(若手・中堅の育成目的)
スキルという話とは少し離れるかもしれないですが、ケースとして紹介したいのがこれ。
特に、1)か2)のスキルを”ある程度”持っている、もしくは”まだ持っていないが持たせたい”という場合に、若手・中堅に駐在を経験させようこということは往々にしてありのです。
駐在先の課題に直面すること自体が教育・研修のベストプラクティスになると考え、ポテンシャル重視で派遣され、いわゆる”揉まれてきてね”というメッセージの元派遣されます。
スキルとしては、専門性や業務遂行スキルを一人前に習得していれば、該当するでしょう。
最後に、みなさんが気になっている「英語力(語学力)」についても触れておきたいと思います。
一般的に駐在員に求められると考えられている「語学力・異文化コミュニケーション力」というスキルは、駐在の目的を考えると最優先事項にはなりません。
現地の直面している課題に、そのスキルが該当しないからです。
もちろんあるに越したことはないスキルです。
ただし、高い専門性やマネジメント力と比較すると、求められるレベルや知識は高くなく短期間で習得できるものでもあるため、駐在が決定してから頑張れば良いと考えている企業も多いです。
実際、元々駐在を希望していなかった人が選ばれることも多々あり、選出後に英会話を社内研修で学ぶ方も多いです。
帰国子女でネイティブ並みの語学の実力がある場合を除いて、「留学経験あり・日常会話ができること」から逆算して駐在員に選ばれることは無いと言って良いでしょう。
2.2. 駐在員が選ばれるプロセス
では、そのようなスキルを持っている人材を、実際にどのように駐在員として選出し配置を考えているのでしょうか?
配置の元になるのは「人員計画」と呼ばれる、企業の短期的(1年間)から長期的(3-5年間)の人員の増減やローテーションなどの具体的な計画に基づいて決定されます。
その計画の決定要素はたくさんありますが、下記のような要素があります。
・会社、各部門の中長期の戦略
・各部門の各ポジションの空き状況、組織・人材のリソース状況
・各人材のこれまでの経験やスキル
・人材本人の今後のキャリアプラン
これらを加味しながらパズルのような難解なピースをあれこれ議論して計画を策定していきます。
つまり、会社が決定する要素ではあるものの、個人のスキルや希望はしっかりと反映されることを考えると、駐在を目指すのであればアピールや戦略というものはある程度有効になってきます。
ただし会社は、
〇〇国の▲▲のポジションに就くには■■のスキルを身につけておくべき
のようなことは言ってくれません。
それは、会社の課題や事業の状況は常に変化しており数年後すら読むのが難しい上に、いつどこで空きポジションが出るかは、計画はできても突然変化するのが当たり前だからです。
例)社員Aはビザ的に3年後に帰国させよう → 家庭の事情で半年後に帰国
もちろん企業によって駐在員を選ぶ過程やその方法は様々で、特に海外で経験値を積ませるという考えが強い企業や、総合商社のようにどんどん新しいポジションが生まる企業もあります。
そういった企業では、人材本人の希望・意志・経験を良く見るケースもあるかと思いますので、企業の駐在目的の把握は良く知っておくと良いかと思います。
2.3. 駐在後のキャリア
駐在の夢が叶った!となった上で、日本に帰国した後はどのようなキャリアを歩むのでしょうか。
結論としては、管理職に進むという道が多くなります。
いくつか理由はあり、
・駐在先でマネジメント経験し、更に異文化・多様な人材のマネジメントという上級スキルである
・マネジメントポジションで駐在する場合に、”子会社の経営層”の目線で仕事をするケースが多く、帰国後も経営上流に食い込んでいける視点が備わるケースが多い
・自分の後任の人材が今就いている管理職ポジションに空きが出る
・駐在中は高い給料で生活していたため、帰国後に管理職にならないと給料が大きく下がる
一般的には海外駐在経験で得るものは大きいと言われ、また選ばれる人材も現地の課題を解決できる優秀な人材となることが多く、必然的にそのような人材が出世するということもあります。
〜駐在員の待遇について〜
駐在員の話をする上で必ず触れるべきなのが、その高待遇。
会社の命令で住み慣れた日本から離れるわけなので、最低限日本でしてきた生活スタイルの維持と、安全面での問題がないことは最優先で待遇が設定されていきます。
その結果、収入面は一般的には日本在籍時の1.5〜1.8倍くらいにもなるところも多いです。
※収入の増率が高い=危険、日本の時の生活とかけ離れた生活になる可能性があります。
3. 駐在を目指す上で考えるべきこと
ここまで読み、憧れの駐在への戦略を立て始めようとした人もいるかと思います。
ただし、駐在を目指す上で考えるべきこと・注意すべきこともたくさんありますので、それらをお話ししていきます。
3.1. 駐在の現実
その高待遇や海外でバリバリ働いているというカッコ良いイメージから、華やかなものとして言われることが多い駐在。
しかし、当事者は実際は多くの不満を持っているのも確かです。
下記は私が実際に人事として対応した不満や、良く聞く駐在員の不満の声です。
・そもそも行きたかった国ではなかった
例)英語圏に行きたくて英語をしっかり勉強してきたのに、フランス語圏への駐在になった。
・仕事がハード
例)現地の労働基準法上休日が少ない、日本のようにしっかり残業規制がされておらず働き放題
・いつ日本へ帰れるかわからない
例)自分の後任として適切な人材が社内におらず、ずるずると滞在が長くなっている
・待遇面が十分でない
例)田舎すぎて日本食が全くない。近くへ日本食を買い出しするために月一回飛行機代がかかる。
最終的には会社の命令で行くため、自分で行き先を選べない分現地での困難に対して不満が募るということが起きてしまうのです。
自分の希望が通るわけではないことは、資本主義社会で雇われる側にいる以上理解しておかなければいけないですね。
3.2. 長期の視点を持たなければいけない
最後に、駐在員を目指す上で最大のリスクとなりうる点をお話しします。
それは、
駐在員というキャリアは、その実現のために長期的な時間を費やすというリスクがある
ということです。
20代で駐在経験を積めるというケースの方が少なく、多くのケースは30代前半〜40代前半での初赴任となるでしょう。
つまり、新卒ストレートで入社する場合、「10年後(以上)の未来」となるのです。
この時代の10年は誰も予想できません。
よくキャリアの逆算と言いますが、10年先以上からの逆算キャリアプランは個人的にはあまりオススメしません。逆算は3年から5年くらい先までがいいところでしょう。
※10年以上先のプランでも、過去に多くの人がプランを実現している再現性の高いものならOK
つまり、
どこでもいいから駐在に行きたい! → 駐在員が多い会社を選べば高い可能性で実現できそう
駐在したい国がある! → 確実なルートがない限り、長期間を要して実現を目指すリスクあり
といった感じで、駐在は長期間かけて実現するものという意識を強く持ち、本当にそのキャリアを歩むのが最適かをよく考える必要があることは覚えておきましょう。
まとめ
・駐在員が派遣される目的は企業やフェーズによりさまざま。目的部分を理解することが大事。
・駐在員に選ばれる上で、習得すべきビジネス・専門スキルがある。アピールも必要。
・英語力は駐在員に選出される上でメイン項目にはならない。
・駐在を実現するまでの道のりは長く、そこに賭けるリスクは大きいことがある。
自分自身がなぜ駐在に行きたいのか。駐在がゴールになっていないか。駐在後どうなりたいのか。
キャリアを無駄にしないために、良く考えて行動しましょう!
【ライターのご紹介】 池澤 直(Nao Ikezawa)
大学卒業後、ニュージーランドへのワーキングホリデーを経て、株式会社リクルートに入社。人材紹介業に3年間従事したことをきっかけに、その後のキャリアでは大手グローバルメーカーや外資系メーカーなど、合計9年間人事を経験。キャリアの途中でCo-opビザにてトロントへ渡航し、現地企業でのインターン→就業で約2年間滞在。現在はモントリオールに家族で移住し、フリーランスとして主に日本の人材業や人事業務にリモートで携わっている。
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