1. HOME
  2. 就職に役立つコラム
  3. 誰も教えてくれない、カナダでの様々な雇用形態

誰も教えてくれない、カナダでの様々な雇用形態

カナダで初めてのお仕事探し、またカレッジや大学卒業後の就職を目指されるにあたり、近年ではネット上で多くの情報が出回るようになりましたものの、不透明な部分も多いことと思います。日本ではパートやアルバイト、正社員に非正規雇用など様々な雇用形態が存在し、日本で働く外国人の方々にとって理解しにくいことと察しますが、カナダでもフルタイムとパートタイムはもちろん、コミッション、ユニオン制、またコロナを機に在宅勤務のポジションも増えました。そこで今回はカナダで見受ける様々な雇用形態についてご紹介いたします。

カナダで留学してみませんか?
  • カナダの大学・カレッジ進学に興味がある
  • ワーホリで働きながら留学したい
  • カナダで就職・移民が気になる
  • Co-op、看護師留学など多数取り扱い

あなたに合った留学のカタチをご紹介します。留学のご相談は無料です。

フルタイム・パートタイム

求人情報で最も頻繁に見かける雇用形態として、フルタイム、パートタイムがあります。規定は州により一部異なりますが、私の住むブリティッシュコロンビア州では週30時間以上勤務に従事する従業員はフルタイム雇用と定義されています。一方、パートタイムでは勤務時間がそれ以下の方が該当します。パートタイム希望の方の多くは学校通学中、他のパートタイムの仕事を既に抱えている、介護や育児など、週30時間の勤務が難しい事情がおありです。そういった事情がなくても、例えばワーホリなど留学生の方ですと複数のお仕事を掛け持ちされることでより幅広い経験、人間関係を築けますので、あえて掛け持ちを希望される方もいらっしゃるかと思います。応募先がパートタイムで募集をしていて、シフト調整にある程度融通がきくようでしたら可能性は十分にあることと思います。従来カナダでは採用にあたり、まずはパートタイムで採用して適性や働きぶりを見極めた後、フルタイムに昇格するシステムが一般的でした。オフィスワークではもちろん、中にはレストランでも働きぶりのいいスタッフがシフトを多く勝ち取るような風潮を見かけたことがあります。カレッジや大学を卒業した後、就職活動をされる方にとってパートタイム雇用では物足りなく感じられるかもしれませんが、面接の際にフルタイムで働きたいこと、フルタイム昇格の可能性などを十分にお話された上でパートタイムから開始される方法もあるかと思います。雇用側の立場では新人の雇用にあたり、仕事を覚えるまでの間は指導者が指導、監督にあたる必要がありますので、業務効率の観点からまずはパートで雇用し、ある程度一人前に業務ができるようになってからフルタイム雇用、という方法は理にかなっている部分もあります。一方、応募者側の立場からしますと、パートタイムでは収入が限られる上、フルタイムへの昇格の可能性を考えますと他の仕事への応募も少し複雑になりますので、私個人的にはあまりいいシステムではないと思ってしまいます。

コミッション制

日本ではあまり馴染みのない制度のひとつとして、コミッション制度があります。コミッション制のポジションでは基本時給に上乗せして出来高制としてパフォーマンスに応じた収入が与えられます。例えば洋服が売られているショップで働く店員さんの中にはコミッション制で雇用されている方がいらっしゃいます。方法として、お客さんが来店する度に積極的に声をかけ、サイズの違う服を持ってきたり、それに合うアクセサリーなど提案をすることで、そのお客さんの売上コミッションが店員さんに支払われます。ショップのようなサービス業界ではあまり多くありませんが、車の販売、保険業界、タックスリターンなどの専門職をはじめ、コールセンターなどコミッションで給料が決まる職業は珍しくありません。私は当初、同じ仕事をしてコミッションという追加ボーナスがもらえるという視点で、コミッションに対して特に悪い印象を持っていませんでしたが、現在保険業界というコミッション制度が一部の会社で導入されている業界で働くことで、コミッションに対する見方が大きく変わりました。同僚同士でコミッションを取り合ったり、中には悪質な方法で同僚の売上を自身のコミッションにする方もいらっしゃるようです。同じ業界で働く仲間から、よく”今月コミッションで○○も稼いだ!”といった言葉を聞き、私はコミッション制度でない会社で働いていますので、羨ましい気持ちになることはあります。ただ、視点を変えてみますと、コミッション制度の会社には自身のコミッション額を最も重視する方々が集まり、新人さんのサポートやチームで目標を達成する意識、同僚の休暇や体調不良等をカバーしたり、互いに労りあう意識が乏しくなってしまうことが容易に考えられます。私は新人時代から現在でも同僚たちの温かい言葉に救われたり、チームで和気あいあいと楽しく目標を達成する雰囲気がとても好きで、上司や先輩が温かくサポートしてくれる環境で成長できることを何より幸せに思っています。コミッション制は適性により合う方もいらっしゃり、数字という目標、成果が収入として得られることをやりがいに感じられるという利点もあります。コミッション制の仕事に応募される際は、追加収入という上辺の情報に踊らされずにしっかり考えられ、面接で状況を詳しく伺った上で検討されるといいかと思います。

ユニオン

ユニオンは労働組合のことで、病院や介護施設など医療関係のポジション、政府関係の仕事や学校関係の職種でよく耳にする言葉です。実際の従業員を中心に構成された組合では労働環境の改善を訴えたり、不当な扱いをされた従業員を代表して会社側に声をあげたりします。ユニオンは業界によってユニオンをよく設置している業界、していない業界がありますので、応募者にとってユニオンの有無で会社を選ぶといったことは難しいかもしれませんが、ユニオンを抱えている業界の特徴として知っていただければと思います。私はユニオンのある介護施設での勤務を経験し、現在勤務している保険会社はユニオンのない会社です。介護施設で驚いたことは、seniorityと呼ばれる勤続経験数により与えられるシフトや休暇年数などが決まっていることです。seniorityの高いスタッフは好きなシフトを自由に選ぶことができ、seniorityの低いスタッフがそれ以外のシフトを埋めるという、年功序列のような制度で、特に規模の小さめの介護施設でしたので、seniorityによる権利の差が顕著に見られました。また、ユニオンに守られていることが理由で、やる気のないスタッフや病欠を繰り返す方、また当時の私のような新人として入社した方も日々の働きぶりに応じて昇格することはなく、seniorityを稼ぐ以外方法がないため、モチベーションを保つことが難しかった記憶があります。ユニオン自体、会社側から従業員を守るという大切な観点のもと設置されているにも関わらず、それを悪用される方により職場環境の悪化やモチベーションの低下に繋がることは非常に残念なことです。

在宅勤務

カナダでも日本同様、コロナを機に在宅勤務のポジションが増え、カレッジや大学在学中、卒業予定の方では在宅勤務を検討される方もいらっしゃることと思います。在宅勤務の最大のメリットは通勤時間がないだけでなく、身支度を整える時間も最小限に留められ、滞在都市に関わらず応募できる会社、ポジション数が増えることです。特に小規模都市にお住まいの方や逆にトロントなど通勤に長時間費やすことが従来当たり前だった都市にお住まいの方にとっては魅力的にうつるかもしれません。実は私も現在では毎日出勤し、同僚と顔をあわせて世間話をしたり、コーヒーをおごりあったりする日々を楽しんでいますが、以前在宅勤務を一年ほど経験しています。最初は出社時間の直前まで寝ていられることや通勤しなくてすむこと、退勤後すぐに他の活動ができることなどを魅力的に感じていましたが、次第に自分の世界が自宅に限られてしまうこと、オンオフのメリハリがつかず常に仕事が頭にあるような、一方で仕事をしていないような感覚に陥り、自分に合わないと感じ始めるようになったことを覚えています。私の知人でも在宅勤務をしている方がいらっしゃいますが、同僚、上司との関係が希薄で、社内のコミュニケーション不足、システムの不具合などトラブルが生じた際のサポートが得られにくいなど、ある程度自立して問題解決ができる能力が求められるようです。評価にあたり、働きぶりが視覚的に見えないことで数字や売上が主体になってしまいがちですので、日々の業務において自分がどのように評価されているのか、不安になることもあるかと思います。このような理由から、ある程度業界での経験が既にあり、同じ会社で成果を既にあげている方、限られたサポートの中で日々乗り越えていくたくましさを持っている方には向いているかと思います。私の勤務している保険業界でも在宅で活躍される方はたくさんいらっしゃいますので、私もいつか経験値をあげた上で在宅勤務を検討する日がやってくるかもしれません。

 

今回はカナダでの雇用形態についてご紹介しました。特にカレッジや大学を卒業され、就職活動をされる方々にとっては、どんな会社でどんな働き方を理想的とするのか、一度考えてみられるといいかもしれません。カナダ人の方と話されるとよく”コミッション制の会社で稼ぐといいよ”や”ユニオンの会社に入ったらさぼっててもクビにならないし楽”といった偏ったアドバイスをいただくこともあるかもしれません。その方にとっては一理ある考え方かもしれませんが、第二言語の私たちにとって出来高制というリスクを負うことよりも安定した給料がいいという考え方もあれば、生来働き者の日本人である私たちにとってユニオンの環境では働きぶりが昇格に結びつくことが難しく、逆に憤りを感じることも大いに考えられます。今回の記事を参考に、皆さんの希望にあった働き方について、一度考えてみるきっかけにしていただければ幸いです。

 

ライター Aki
ワーホリ、学生ビザ等でのカナダ留学歴約3年半、カナダ移民歴6年のビクトリア在住女性。
飲食店や介護施設、サービス業など幅広い業種を経験した後、ブリティッシュ・コロンビア州の保険資格を取得し、現在保険会社にて顧客対応、管理業務に従事している。
趣味はパブリックスピーキング、ズンバ、ヨガなど。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

毎月お得なキャンペーン


毎月お得なプロモーション