自然豊かなカナダで気をつけたいマダニとライム病|症状・予防・対策まとめ

カナダは雄大な自然に恵まれ、留学や観光で訪れる人々にとって魅力的なフィールドです。しかし自然が豊かな場所には、時に注意すべき生き物も潜んでいます。その代表格が「マダニ」です。
近年は、カナダ出身の歌手アブリル・ラヴィーンやジャスティン・ビーバーがライム病に苦しんでいたというニュースを耳にした方もいるかもしれません。ライム病はマダニに咬まれることで感染する細菌性の疾患で、早期発見と治療が極めて重要です。本記事では、カナダに滞在する上で知っておきたいマダニとライム病の知識、予防法、そして咬まれたときの対応について詳しく解説します。
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カナダに生息するマダニ
カナダには約40種類ものマダニが生息しているといわれています。その中でも、ライム病の原因菌 Borrelia burgdorferi を媒介するのは、主に クロアシマダニ(Ixodes scapularis) です。マダニの活動が盛んになるのは春から秋ですが、環境条件が整えば一年を通じて活動することもあります。
実は、マダニは20世紀初頭からカナダ国内で確認されており、決して新しい外来種ではありません。しかし近年の気候変動や森林の利用形態の変化によって、マダニが従来より北方や内陸部にも定着しやすくなっていることが報告されています。オンタリオ州ではマダニの生息域が年間35〜55km北上しているとする研究もあり、かつてはリスクが低いと考えられていた地域でも注意が必要になっています。
The impacts of climate and land use change on tick-related risks
https://ncceh.ca/resources/evidence-reviews/impacts-climate-and-land-use-change-tick-related-risks
ライム病とは?
ライム病は、ボレリア属の細菌を保有したクロアシマダニに咬まれることで発症します。初期症状としてもっとも特徴的なのは、咬まれた部位から円形に広がっていく皮疹で、数日かけて直径5cm以上に拡大することもあります。
そのほかの初期症状としては、発熱、悪寒、疲労感、頭痛、リンパ節の腫れ、筋肉や関節の痛みなど、風邪やインフルエンザに似た体調不良が挙げられます。これらを放置すると、感染が関節や心臓、神経系にまで広がり、慢性的な症状を引き起こす可能性があります。
有名人の例としては、歌手ジャスティン・ビーバーが自身のライム病罹患を公表し注目を集めました。公式に「どのマダニが原因で咬んだか」は明らかにされていませんが、ライム病がマダニを介して感染する疾患であることは医学的に確立されています。
Justin Bieber’s Reveal Shows Why Lyme Disease Is Often Misdiagnosed
https://www.healthline.com/health-news/justin-bieber-lyme-disease#Inflammation-link-between-Lyme-and-depression
万が一、ライム病のような症状が出た場合は?
ライム病は早期診断と治療によって重症化を防ぐことができます。以下のような場合にはすぐに医療機関に相談してください。
- ・マダニに咬まれ、その後に皮疹や体調不良が現れた場合
- ・マダニが多い地域に滞在した後に発熱や倦怠感などの症状が出た場合
診察を受ける際には、
- ・マダニが体のどこに付着していたか
- ・どのくらいの時間付着していたと考えられるか
- ・咬まれた可能性のある地域(市や州)
といった情報を医師に伝えると診断の助けになります。
マダニに咬まれないための予防策
マダニに咬まれないためには日常の予防が大切です。
- ・草むらや雑木林など、マダニが潜みやすい場所を避ける
- ・長袖・長ズボンを着用し、ズボンを靴下に入れるなど肌の露出を減らす
- ・「DEET」や「Icardin(ピカリジン)」を含む虫除けスプレーを使用する
- ・暗い服よりも明るい服を着用してマダニを見つけやすくする
- ・外出後は全身をチェックし、家族や友人に背中などを確認してもらう
ライム病を媒介するためには少なくとも24時間以上マダニが付着している必要があるとされるため、帰宅後のダニチェックは非常に有効です。
マダニを見つけたときの対応
もしマダニが体に付着しているのを見つけても慌てず、専用のピンセットなどで慎重に取り除くことが推奨されます。無理に引き抜くと口の部分が皮膚に残ってしまうことがあるため注意が必要です。除去後は念のため医療機関を受診し、感染リスクの有無を確認してください。
日本との比較
マダニは日本にも生息しており、ライム病の報告もあります。ただし日本ではライム病の発症例は比較的少なく、代わりにSFTS(重症熱性血小板減少症候群)など別のマダニ媒介疾患が知られています(国立感染症研究所)。そのため「マダニ対策」という言葉自体は国内でも徐々に認知されていますが、ライム病の一般的な知名度は北米ほど高くありません。
まとめ:正しい知識を持って予防を
カナダの自然は魅力的である一方、マダニによるライム病のリスクも存在します。マダニは昔からカナダに生息していましたが、気候変動によって生息範囲が広がりつつあることが近年の研究で示されています。予防策をしっかり取り、万が一咬まれた場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
自然を安全に楽しむためにも、「マダニ」と「ライム病」について正しい知識を身につけておきましょう。