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留学道⑲ ‐ 留学と移民②【カナダ移民と二重国籍が認められない日本】

さて、前回より、カナダでの留学を経てからの移民についての発信をしています。

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二重国籍と日本の動き

前回の記事にて、「日本は二重国籍を認めていない」とし、国籍はく奪条項違憲訴訟の結果についても少し触れました。【二重国籍】については、数年前、テニスの大坂なおみさんが、アメリカ国籍と日本国籍どちらを選ぶか?というニュースで話題になったのを覚えている方も多いのではないでしょうか?

大坂なおみさんのケースのように、生まれた国または両親のどちらかの国籍により、2つ以上の国籍を持っている方は、日本の法律上、22歳までに国籍を選択しなければなりません。例えば、今、カナダへの移民を考えているあなたが後にカナダ国籍を取得する場合、日本国籍を離脱する、という手続きを取らなければいけません。ただ、罰則などはないため、事実上、二重国籍状態を保っている方は多くいらっしゃるという状態です。大坂なおみさんの場合、テニスプレーヤーとして有名であること、そして、東京オリンピックに【どちらの国の】代表として出るか、そして、二重国籍を認めているアメリカからわざわざ国籍を離脱する場合には、多額の国籍離脱税がかかることなどから大きな話題となりました。

そして、この大坂なおみさんのケースが話題になるよりも前、2018年に、国籍離脱を迫る今のこの国籍法が、憲法で定める【幸福追求権】に反するのではないか、という理由で違憲訴訟が起きています。私も、以前こちらの訴訟を支持する署名活動のことを知り、署名しましたので、行方が気になっていました。

※興味を持たれた方は、ぜひこちらで訴状の概要をご覧ください。

永住権保持者の、宙ぶらりんな気持ち

個人的に、永住者としてカナダに10年もの長い間暮らすことは、感情として少し矛盾する部分、宙ぶらりんな部分を抱え続けることになると思っています。例えば、カナダの参政権は持たないので、「最悪の最悪、日本に帰ればいいか」という気持ちが常に頭の隅にあり、どこか他人事・・・。かと言って、参政権は持っているとは言え、日本の政治も直接自分の毎日の生活に関わらないのでそちらも関心が薄かったり。

二重国籍を認めている他の国の方は、移民権を取ったらすぐに市民権の準備を始める(※カナダ在住3年を過ぎたら申請可)ことを考えても、決断の先延ばし・保留状態が続くのは、メンタルとしてもよくないな、と思ったりはします。

二重国籍が認められたとしたら?

仮に違憲判決が出て国籍の選択が不要になり、日本国籍を持ったままカナダ国籍を取得することが可能になったとしたら、カナダ留学からの移民をする方にとっても、永住権がゴールにならず、次のステップとしての市民権、そして、取得後は、自分はカナダ市民なのだからもっとカナダについて知ろう、カナダに貢献しよう、という気持ちも生まれ、私のように悶々とする期間が少なくなるのかな、と単純に思ったりしています。

また、例えば20代に移民するなどし、30代・40代の働き盛りの方の場合、永住権の後、早々に市民権も持っておけば、永住権の更新のためだけにカナダに住む必要がなくなります。現在、カナダ国籍を持つ方と結婚して永住権を取得している日本人が、その方と一緒に海外で暮らしている場合は、カナダ居住と同じ扱いになりますが、独身のカナダ永住権保持者の場合は、カナダに5年中2年住んでいなければ永住権の更新ができません。この規定が足かせとなって、カナダ国外での仕事のチャンスを見送るようなこともなくなり、選択肢が増えます。

両方の国籍が保持できるということは、老後をどちらの国で過ごすかを選択できる、ということにも繋がります。また、日本で既に長く働いておられ、年金等も収めて来たのでそれをあきらめてしまうのはもったいないと思われる世代の方のカナダ移民→カナダ市民権、という道もまた広がって来ると思います。

今の日本と、今のカナダ

こちらの裁判、最高裁まで行きましたが、残念ながらこの訴訟、23年の9月に、上告棄却となりましたので、二重国籍を認めない日本の憲法は合憲ということになりました。私としては、なんだかんだ言って違憲判決となり、法律が変わるのではないかと期待していただけにとてもガッカリしました。

同時に、物価高・円安で日本の皆さんがこれだけ苦しんでおり、私たちカナダの留学エージェントには、日々「移民したい」「日本を出たい」と、カナダ留学や進学のご相談が舞い込んでいることを、政府や有識者の方々はご存じなんだろうか、と思ってしまいました。ハッキリと「もう、日本でこれから働いて暮らしていくことに夢がない」と言い切った方もいらっしゃいますし、近年は、親子・夫婦でカナダ留学を検討される方も本当に多くなっています。

コロナで色々なことが停滞したこの数年間ですが、カナダはパンデミックの最中もずっと、「カナダは移民を受け入れています!」と言い続け、スローダウンはしましたが、移民審査は続いていました。Invitation(移民希望者への申請許可)も出続けていますし、労働力不足を解消するために、申請許可要件を下げ、多くの若者や、カナダの教育機関の卒業者も、新移民として受け入れました。

もちろん、前回お話しした通り、決してカナダ移民で全てうまく行く、夢のような生活が待っている、ということはありません。それでも、挑戦しようと思う方はたくさんいらっしゃいますし、カナダもそれを受け入れようとしています。ニュースなどで言われるように「日本は、若い人が外に出たがらない」は、実際の感覚とはずれていると感じます。

10月に原告団は最高裁判所に対して再審の訴えを提起したところで、まだ戦いは終わっていないようです。

おわりに

前回に引き続き、移民についてのトピックです。

特にこのコロナを経て、自分の生き方や欲しいものを考え直した方が多いため、留学相談も、レジャーや教養というだけではなく、それこそ人生をかけた一つの人生選択・生き方として、真剣に時間をかけて考えている方が多いと感じます。

とは言え、日本でもニュースになっている通り、日本に旅行や仕事、勉強で来たいと考える外国人は多いようです。実際に、日本が大好きになって日本に残りたいと考える方も多いですよね。隣の芝生は青い、ではないですが、お互いに今ないものだからこそ、欲しいと思う側面もあるかもしれませんし、自分が生まれた国だからと言って自分がそこに100%フィットするかと言ったらしないのでしょう。

「あなた」にとってどの国や環境がいいのか、迷いも含めて、色々と考えていただく一助となりましたらとても嬉しいです。

 

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