飲食・接客・美容などのサービス業から永住権へ

カナダ公認移民コンサルタントによるコラム企画の第2弾です。
こちらではカナダで就労ビザや移民の手続きを長年行っているQLSEEKER CANADA Inc.の代表・移民コンサルタント、上原さんに、制度の説明を、そして、15年以上カナダで留学手配に関わるMYNDSの海野との合作で、ビザの制度と、それに関わる留学の考え方や上手な使い方について、お伝えしていきます。
- カナダの大学・カレッジ進学に興味がある
- ワーホリで働きながら留学したい
- カナダで就職・移民が気になる
- Co-op、看護師留学など多数取り扱い
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Table of Contents
はじめに
ワーキングホリデーやCo-opでカナダへ渡航した日本人にとって、飲食店、カフェ、ホテル、小売店などのサービス業は、最初の仕事として身近な選択肢です。
PGWPを持っている方でも、カナダでの最初の仕事としてサービス業を選ぶ方も多いでしょう。また、美容師、ネイリスト、エステティシャンなど、日本での経験や技術を生かして働く方もいます。
一方、近年は外国人労働者の雇用をめぐる制度が変化し、サービス業で働き続ければ、そのまま就労ビザや永住権につながるとは限らなくなっています。
では、現在も可能性が残されているのは、どのような職種、働き方なのでしょうか。
24~25年の移民やビザに関する変化など概要については、前回の記事もご覧ください。

カナダでの飲食・サービス業の職歴は永住権申請に使える?
総合力勝負の時代
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以前は、一定期間カナダで職歴を積めば永住権につながる可能性が比較的高い時期もありました。
しかし、ここ数年は世界各国からカナダ永住権を目指す人が増える一方で、政府が移民受け入れ数の削減を打ち出しているため、「カナダで働いている」という事実だけでは全く十分でなくなっています。また、明らかに飲食業、サービス業よりはヘルスケア、建設などに政府のプライオリティーが置かれているのが現状です。
現在の連邦政府のプログラムでは、カナダでの職歴だけでなく、日本での職歴、学歴、語学力などで高得点をマークし、かつ、対象となる職種やプログラムにおいて、資格やライセンスが評価される場合には、そうした追加要素も積み上げていかないと永住権申請の招待を受けるのは難しくなっています。
また、飲食・サービス業などの職歴を基に州の移民プログラムを利用する場合雇用主からのジョブオファーが必須ですが、各州がポイント制を導入しているためジョブオファーがあるだけでは先に進まないケースもでてきています。
いずれにしても「サービス業で働いているから無理」「働いていれば大丈夫」という単純な話ではなく、他の要素も含めた総合力での勝負となります。
職種・働き方別に見る、永住権への可能性
Q. サーバー、バリスタ、キッチンスタッフ、小売店の販売員などの仕事から、就労ビザや永住権を目指すことは可能ですか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
以前はBC州をはじめとして各州のプログラムの中にセミスキルドワーカーの枠があって、サーバーやキッチンヘルパーなどで永住権を取得した人もいましたが、現在はそれらのプログラムは縮小もしくはクローズしているため、今後はそうした職種では永住権取得はまず無理と考えた方がよいと思います。
Q. ホテル、観光地、リゾート地域などには、サービス業から永住権につながる可能性が残されていますか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
例えば、アルバータ州ではツーリズム&ホスピタリティーストリームがありますが、ホテルやレストランのスタッフ、ツアーガイドなど幅広い職種が対象になっています。アルバータ州でこれらの職種で6か月以上LMIAの就労ビザで就労していることが条件です。ただ、こちらもポイント制が導入されており、年齢や語学力、就労のロケーション、資格の有無なども評価対象に含まれます。
Q. シェフやクックなど一定の技術や経験が必要な職種であれば、一般的なキッチンスタッフとは可能性が変わりますか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
はい、連邦政府は、スキルワーカーの職種しか考慮しないので、キッチンスタッフではなく最低でもシェフやクック、または次項で挙げているように、スーパーバイザーやマネージャーなどで職歴を積まないと意味がありません。
Q. 現場スタッフからSupervisorやManagerへ昇進すれば、就労ビザや永住権の可能性は高くなりますか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
スーパーバイザーやマネージャーの職歴は永住権申請の際にカウントされます。
但し、前述したように、学歴、年齢、語学力、日本での経験など他のファクターとの総合診断になります。
Q. 美容師、ネイリスト、エステティシャンなど技術を伴う美容職の場合は、一般的な接客職とは可能性が異なりますか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
現在多くの日本人がその特性を生かして美容師やネイリストとして活躍していますが、残念ながらカナダ政府は美容系の職種にプライオリティーを置いていません。
美容師、ネイリスト、エステティシャンなどは、一般的な接客職とは異なり、職務内容によってはスキル職として扱われ、その職歴が永住権申請上の職歴として評価される可能性があります。
カナダで最初に就く仕事から、いきなりマネジメント職や、永住権申請上スキルレベルの高い職種に就くことは、とても難しいことです。今の職種や役職では先に繋がらない…と諦めるのではなく、現在の仕事やこれまでの経験を踏まえて、次にどのような職種やポジションを目指せるかを考えながら行動することが大切です。MYNDSの利用者の中にも、カナダでの最初の仕事をきっかけに、昇進や転職を重ねてキャリアアップし、最終的に雇用主から就労ビザのサポートを受けたり、永住権申請につなげたりした方がこれまでにいらっしゃいます。最初の仕事そのものだけではなく、その経験を次の職種や役職へどうつなげるか、という視点を持っておきましょう。
雇用主のビザサポートとは?留学生が確認したいポイント
MYNDSでも、ワーホリや留学でカナダに滞在中の方々から、「残りたいがどうしたらよいか」「雇用主からビザサポートの話が出ている」というお話をお聞きすることがあります。ただ、手続きにかかる手間や時間、費用についてなどでうまく折り合いがつかず、結局申請に至らないケースもあります。留学生やワーホリ生の方が気をつけるべき部分を教えてください。
Q. 雇用主からビザをサポートすると言われた場合、就労ビザのサポートと永住権のサポートをどのように区別すればよいですか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
まず理解しておきたいのは、「ビザサポート」と「永住権サポート」は別のものだということです。就労ビザのサポートとは、一般的には雇用主がLMIAの取得を通じて就労ビザ申請に協力することを指します。一方、永住権サポートは州推薦プログラム(PNP)や雇用主主導のプログラムに協力することを意味する場合が多く、必ずしも就労ビザのサポートと同じではありません。
実際には、「サポートするつもりはある」と言われても、具体的にどの制度を利用するのか決まっていないケースも少なくありません。そのため、「どのプログラムを利用する予定なのか」「誰が申請費用や手続きを負担するのか」「過去に外国人をサポートした実績があるのか」などを早い段階で確認することが重要です。
Q. どの飲食店、サロン、ホテル、会社でも、外国人の就労ビザや永住権をサポートできますか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
必ずしもそうではありません。就労ビザや永住権のサポートには、雇用主側にも一定の条件や負担があります。
例えばLMIAを利用する場合、会社の財務情報や従業員数、オファー可能な賃金水準など、一定の条件が求められます。また州推薦プログラムでは、一定の事業実績、規模、雇用されているカナディアンの従業員数など雇用主に対する厳しい条件があります。
一般的には過去に外国人スタッフの就労ビザや永住権をサポートした実績のある雇用主は、比較的スムーズに進む可能性が高いので、就職先を選ぶ際には、給与や勤務条件だけでなく、外国人雇用の経験や実績も確認しておくとよいでしょう。
Q. LMIAやジョブオファー、ビザサポートを理由に費用を求められた場合、どのような点に注意すべきでしょうか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
非常に重要なポイントです。カナダでは、LMIA申請に関する政府手数料や弁護士・コンサルタントなどの代理人によるサポート費用、リクルート活動のための広告費用等を外国人労働者へ転嫁することは認められていません。
また、ネット上で「永住権を保証する」「お金を払えばLMIAを取得できる」「ジョブオファーを販売する」といった話には十分注意が必要です。
ライセンスを持っていない不法業者の中には「ビザサポート費用」として数千ドルから数万ドルを請求するケースも見受けられます。しかし、その支払いによって永住権や就労ビザが保証されるわけではありません。
少しでも不安を感じた場合は、契約や支払いを行う前に専門家へ相談することをお勧めします。
Q. ワーホリやCo-opで飲食・サービス業に就職した場合、いつ頃から次のステップや雇用主とのコミュニケーションを考えるべきですか。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
できれば就職後数か月以内には考え始めることをお勧めします。多くの方は、ビザの期限が近づいてから慌てて情報収集を始めます。しかし、就労ビザや永住権の準備には予想以上に時間がかかります。
また、雇用主側も突然「ビザをサポートしてほしい」と言われても、すぐに対応できるとは限りません。
雇用主からのビザサポートがダメなら…と代替案でROワーホリを検討される方もいらっしゃるでしょう。ROワーホリも、通常のワーホリと同様、年度ごとに枠が決まっています。1月の枠発表の前に事前募集を行うRecognized Organization(RO団体)もありますし、語学学校を利用するLanguages CanadaのROも例年、11-12月には募集の動きが開始します。ワーホリから学生ビザ(Co-op用)などに切り替える場合は、ビザが届くまで就学を開始することができませんので、学校決定・申し込みと支払いは、ビザが切れる2~3ヶ月ほど前には済ませることがおすすめです。ビザの残り期間が残り1か月~2ヶ月を切ってから動くと時間が足りないことも多いため、早め早めの情報収集とアクションがとても重要です。
サービス業から永住権につなげる現実的なルート
Q. 現在も考えられる現実的なルートの例はありますか?
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
最近ではカナダ東部の州の特別なプログラム(アトランティック移民プログラム)を通じて飲食、美容業界から永住権を取得された方がいます。現状オンタリオ州やBC州では永住権取得が難しくなっているので、最初からそうした地方のプログラムを狙うのも一案です。
基本的に州のプログラムを利用した場合はその州に移住することが原則ですが、カナダの憲法は州を跨がって移動する自由を保証していますので、永住権取得後に他州に移住する方も一定数いるのは事実です。
Q. 飲食・接客・美容などのサービス業からカナダでの長期就労や永住権を目指す方へ、最後に伝えたいことをお願いします。
⚖️ 移民コンサルタント・上原(QLSeeker)の回答:
飲食・美容などの分野で、日本での資格や十分な実務経験がある方は、雇用先を慎重に選ぶことで、就労ビザのサポートを受けられるチャンスはあります。
ただし、永住権となると話は別です。前述のとおり、サービス業から永住権につなげる道はかなり狭くなっているため、日本での職歴、学歴、語学力などを踏まえて、本当に永住権まで戦える可能性があるのかを冷静に見極めることが重要です。
仮に永住権取得に至らなかった場合でも、数年間、英語環境の中で働いた経験は、日本帰国後の就職活動やキャリア形成に役立つ可能性があります。また、キャリアチェンジのためにカナダ留学を活用する、また、これは最初から計画できるものではありませんが、カナダ滞在中に将来のパートナーと出会い、結果としてファミリークラスで永住権につながるケースもあります。いずれにしても、カナダでの様々な経験を通じて人生の選択肢を広げるという視点が大切だと思います。
難しくなった今こそ、永住権は戦略的に目指す
前回、ビザ・移民制度の大きな流れを上原さんに解説いただき、続けて、私たち留学エージェントで最も見聞きすることが多い、サービス業からの永住権についてご説明いただきました。
最後に、留学を手配した皆さんを、直接的に現地でサポートしてきた留学エージェントとしての立場から、
カナダに来てから、やっぱり残りたいと思う人は実際、かなり多い
渡航前は、まずはワーホリや留学を経験して、日本に帰るつもりだったけれど、実際にカナダで生活し、働き始めてから、やはりこのまま残りたいと希望されるケースはこの15年以上の経験の中で、本当にたくさん見てきました。ぜひ、少しでも興味があるのであれば早い段階で情報集めをしておくことをおすすめします。
移民や就労ビザは、想像以上に情報戦
先述の通り、ROワーホリなどは、年度ごとの枠や募集時期が決まっています。実際には、早い団体では次年度分の募集が前年から始まります。また、Co-opやカレッジ進学に切り換えて現地滞在を延長する場合でも、語学学校と違って即開始するということはできず、次のInstake(開始日)まで待つ必要があり、また、それに合わせてビザ申請も必要です。
例年、全ての募集が終了してから「ROワーホリについて教えてください」とお問い合わせをいただくことや、既にClosed(満席)となっているプログラムへの出願希望を頂戴することがあります。動いている人は、必要な情報を早く集め、募集開始前から準備を進めています。制度が難しくなった今は、いかに早く情報を掴むか、そして、掴んだら動くか、が大事だと感じます。
雇用主との関係づくりも、ビザサポートの一部
スモールビジネスのオーナーの方々と話していると、まだ十分な成果を出しておらず、職場との信頼関係も築けていない段階から、就労ビザや永住権のサポートを強く求められ、対応に慎重になってしまったという話を聞くことがあります。雇用主によるサポートには、費用だけでなく、書類準備、募集活動、専門家とのやり取り、審査への対応など、多くの負担が伴います。
ビザサポートは、お願いすれば受けられるものではありません。仕事を通じて信頼を得て、この人に今後も働いてほしいと思ってもらえる関係をつくることも重要です。
永住権までの道のりは、人によって異なる
MYNDSがこれまでサポートしてきた方々も、永住権に繋がった経緯、かかった時間は本当に千差万別です。1つの成功例、決まったルートがあるわけではありません。
・その時期に移民制度上の優先度が高かった職種へ、一度転職した方
・ケベック州の特定の移民プログラムを目指して移動・進学し、現地での就職につなげた方
・Co-op、通常のワーホリ、ROワーホリと、複数の就労可能なビザを利用しながら職歴を積み、永住権を取得した方
・カレッジ進学後のPGWPに追加のワーホリを組み合わせ、必要な就労経験を積んで永住権につなげた方
・ワーホリでレストランスタッフとして働き始めた後、マネージャーへ昇進し、就労ビザで数年間経験を積んで永住権を取得した方
・アトランティック州などへ移動し、地域の移民プログラムを利用した方
・カナダでパートナーと出会い、経済移民とは別のFamily Classから永住権を取得した方
昔のように、思いがけず永住権の道が転がり込んでくることは少なくなっています。
現在は、自分の条件を理解し、選択肢を早く把握し、必要な経験を計画的に積み上げていくことが大切です。
カナダ留学、ワーホリ、Co-op、カレッジ進学に関するご相談はMYNDSへ。
就労ビザや永住権など、移民制度に関する個別のご相談はQLSEEKER Canada Inc.へご相談ください。
✒️ 監修コンサルタント


上原 敏靖(Toshiyasu Uehara)
所属:QLSeeker Canada Inc. 代表
登録・会員:CICC会員(#R420631)/ CAPIC会員/ 東京都行政書士会
資格:カナダ政府公認移民コンサルタント
◼︎ 略歴・バックグラウンド
1987年慶應義塾大学商学部卒業、青山学院大学国際政治経済学部 修士課程(MBA)修了、東京都行政書士会所属。日系大手化学メーカーやデュポンにて、マーケティング、北米事業企画・法務等を担当。トロントのSeneca CollegeにてImmigration Practitioner CertificateをHigh Honours(最優秀成績)で取得。
2003年にQLSeeker社を設立し日本人のビザ・移民サポートを開始。2004年カナダ初のコンサルタント規制団体(CSIC)に入会し資格認定試験作成委員を務める。

