公立大学・カレッジ附属語学学校:概要
カナダには200以上の大学、カレッジがあります。附属語学学校と言うと、「その教育機関の本科プログラムを目指す人だけが受講できる」と考えている方も多いかもしれませんが、実際には高い教育水準とより優れた学習環境を求める語学留学生も多く受講しています。講師陣も大学基準で採用されており、教育学の学位や長年の指導経験を雇用条件とするなど、指導の質にも定評があります。世界中から、進学を目指す留学生や、しっかりと語学を学びたい留学生が集まっている学校として、選択肢に入れてみるのも良いかもしれません。
多くの大学・カレッジ附属語学学校では、英語力や目的に応じて複数のプログラムを用意しており、語学力の習得だけでなく、進学・キャリア・異文化体験など、さまざまなニーズに対応しています。
- English Academic for Purpose(EAP):
本科プログラムへの進学を見据えた英語プログラムです。特にリーディング・ライティングを中心に、エッセイやレポート、プレゼンテーションなどのスキルを磨きます。通年開講されており、EAP修了により英語テストが免除される場合もあります。 - 短期プログラム(Summer Immersionプログラムなど):
2~3週間の期間で開講される季節限定のプログラムで、授業と課外アクティビティがセットになっていることが多く、異文化交流やカナダ生活の体験に最適です。日本の大学が提携先として短期留学制度を設けている場合にも、この形式が多く選ばれています。長期留学の事前体験・下見としてもおすすめです。 - グループ向け特別プログラム:
教育機関や企業団体からの要望に応じて、専用のアレンジプログラムを設けるケースもあります。医療機関や地元企業の見学、英会話ではなくビジネス英語中心のカリキュラム、グループでの観光や体験を含む設計など、目的に合わせて柔軟に対応してもらえます。
これに加えて、マスタープログラムへの準備プログラム、1年~2年程度のビジネスやホスピタリティのプログラムを運営している大学もあります。

「私立・公立どちらがいい?」
語学学校で学ぶことは決めたが、私立の語学学校と、公立の附属語学学校とどちらがいいか迷っている、違いがわからない!という方はぜひこちらも合わせてご覧ください
このような方におすすめ
- カナダの高い教育水準の大学、カレッジで語学を学びたい方
- 進学を目指す、志の高い留学生たちと切磋琢磨したい方
- 大学・カレッジの施設を利用しながら、キャンパスライフも楽しみたい方
- 将来的に進学を検討している方
おすすめの学校の紹介
ブリティッシュコロンビア州ビクトリア:
Camosun College
Camosun Collegeは、1971年に設立されたブリティッシュ・コロンビア州(BC州)の州都ビクトリアにある、州内でも最大規模を誇る名門コミュニティカレッジです。
Camosun Collgeには2つの美しいキャンパスがあり、ランズダウン・キャンパスはランズダウンの高台に位置し、ビクトリアの街とオリンピック山脈の壮大な眺めを楽しむことができます。インターアーバーン・キャンパスは、ダウンタウンから近い距離にありながら、郊外にある田舎のような環境を楽しむことができます。
Camosun Collgeの、English Language Development (ELD) 各レベル15週(7週で受講も可能)、1,5,9月に開講されています。Level 1 ではさらにレベル1-5の5 レベル、Level 2 では6-10の5つのレベルに分かれています。Level 1では、リスニングとスピーキング、読解と作文の入門から学びます。Level 2では、カレッジや大学レベルのプログラムへの準備や、カナダの職場で通用する専門的な英語力を身につけるため、より高度な英語学習を受けることができます。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
7週間、15週間
ブリティッシュコロンビア州バンクーバー:
The University of Victoria (UVC)
University of Victoria(UVic)は、BC州の州都ビクトリアにある公立大学で、留学生の受け入れにも積極的な国際色豊かな学校です。附属のEnglish Language Centre(ELC)はカナダ国内でも評価の高い語学学校の一つで、実践的な英語力を身につける多彩なプログラムを提供しています。 「Monthly English(4週間)」や「Intensive English(12週間)」など、期間や目的に応じたコースが選べ、特にスピーキングやリスニングを重視した授業が好評です。大学施設を利用できる環境で、現地の文化体験やアクティビティも充実しています。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
4週間・12週間
The University of Victoria 学校情報はこちら
オンタリオ州ロンドン:
Fanshawe College
Fanshawe College はトロント、ナイアガラの滝、デトロイト (アメリカ) から車で 2 時間半の人口 40 万人程の町ロンドンにある公立カレッジです。ロンドンは森の街ともいわれ他の市に比べて散歩道や公園も多く、静かでビクトリア調の建物や公園が数多い閑静な街です。
附属語学学校で提供されるEnglish for Academic Purposes (EAP)では大学やカレッジの本科、さらには専門分野の環境で必要とされるレベルの英語力を身に付けることを目的としています。 レベルは初級から上級まで 10段階あり、1レベルは8週間で完結します。他の公立カレッジと同じようにリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングを総合的に学習するため、基礎から応用までバランス良く学ぶことが可能です。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
8週間
オンタリオ州トロント:
University of Toronto (U of T)
University of Toronto(トロント大学)は1827年に設立されたカナダの最古・最大であり、カナダを代表する総合大学です。カナダ国内ランキング1位、世界ランキングでも18位(2021年)と世界的にも知られている大学のひとつです。
U of Tの附属語学学校では、4週間単位のプログラム【English for Effective Communication】は、日常生活に対応できるコミュニケーション能力を磨き、総合的な英語力をバランス良く磨くプログラムで、初級から受講が可能です。
中級以上の方は【English for Business Communication】が受講可能です。英語力の向上のみならず、プレゼンテーションなどを通し、ビジネスの場面で使えるスピーキング、リスニング、ライティング、リーディングスキルを総合的にバランスよく学ぶことができます。
さらに、U of Tへの進学を目指す方はELP (English Language Program) Academic Englishがあります。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
4週間~
University of Toronto 学校情報はこちら
オンタリオ州バリー:
Georgian College
Georgian Collegeは1967年に創立された公立カレッジで、トロントから北へ約100kmのBarrie(バリー)にメインキャンパスがあります。Barrieは美しい湖畔やリゾート地がある安全で静かな街である一方、大都市トロントまで車で約1時間の距離とアクセスが良いところも魅力的です。
Georgian Collegeの英語プログラムは各レベル7週間で、全8レベルです。レベル1~4は一般英語、レベル5~8ではカレッジ進学に必要なアカデミック英語を学びます。 授業の内容はスピーキング、リスニング、発音、リーディング、ボキャブラリー、ライティング、文法で構成されている他に選択科目があります。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
7週間
オンタリオ州オタワ:
University of Ottawa
オタワ大学は1848年に設立されたバイリンガル大学で、カナダの名門大学の1つです。10の学部から成り、計550以上のプログラムを提供しています。キャンパスを連邦政府機関が集中する首都オタワのダウンタウンに構えており、オタワの公共交通機関OC TranspoのO-Train(電車)の駅名にもあるように、駅からは徒歩圏内です。観光施設やショッピングモール、街のカフェやレストランへのアクセスも非常に良いため、放課後の観光や学生のアルバイトもし易い環境です。
英語集中プログラム(English Intensive Program/ EIP)は9月、1月、5月の年3回開講される14週間のプログラムで、独自の指導方法により生きた英語を短期間で習得できるよう構成されています。レベルは初心者から上級者まで5レベルに分かれており、2回のレベルテストにより最適なクラスで受講が可能です。授業は一クラスに教授とアシスタントが3~4名付き、学生に寄り添ったサポートをしています。レベル5の学生は希望次第で学部聴講が可能とされており、留学生にとっては貴重な経験となります。 大学本科への進学を検討している方、認定留学、語学留学と様々なニーズに適したプログラムです。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
3週間、4週間、14週間
ケベック州モントリオール:
McGill University
McGill Universityは1892年に設立されたケベック州モントリオールにキャンパスを持つカナダで最も歴史のあるの公立大学です。世界大学ランキングではトップ 30 に入る程の、カナダだけでなく世界においても最も権威ある大学の 1 つです。
McGill Universityの附属語学学校では、Certificate of Proficiency in English Language and Cultureを開講しており、1日5時間、1セッション6週間のプログラムです。英語の 4 技能を均等、効率的に、短期間でバランスよく英語力を向上する事ができます。宿題や課題も多く出されるのでハードな環境ですが、エッセイ、プレゼンテーションなどアカデミックな内容をしっかり学ぶことができるので、厳しい環境でレベルの高い講師からしっかり英語を学びたい方におすすめです。
受講に必要な英語力
初級~
受講に必要な期間
14週間
組み合わせ可能な「留学のカタチ」
カレッジ・大学進学:後のカレッジ・大学進学に繋げる
認定留学:留学を、大学の単位認定してもらう、本科の授業を聴講する
日本人が少ない!注目の地方都市:地方都市では、学校の総数が少ないため、カレッジ・大学附属語学学校もおすすめ
受講条件・注意点
多くの学校で初級者からの受講が可能ですが、上級クラスや短期集中プログラムでは一定の英語力証明が必要な場合があります。
また、EAP修了で英語スコアが免除される制度は、原則「同一校への進学」が対象です。州内の別のカレッジ・大学の入学条件としても認められることもありますが、別の教育機関への進学を希望する場合は、事前に確認が必要です。
2024年~25年、カナダ政府が学生ビザに定員枠(上限)を決めたことから、各教育機関で受け入れのできる生徒数に制限がかかりました。これに伴い、大学やカレッジの附属語学プログラムについても、一部で新規受け入れの停止やプログラム自体の縮小といった動きが見られています。
また、進学先を最初から決めて附属語学学校に入学するというスタイルよりも、複数の大学・カレッジと提携する私立語学学校で学び、進学先を柔軟に選べる「パスウェイ留学」のスタイルが一般的となっているため、こうした背景から、附属語学プログラムのニーズや運営形態にも変化が起きています。25年や26年以降の入学に向けて、附属語学学校の新規受け入れを終了と発表している教育機関もあるため、検討している方は先にご相談ください。
よくある質問と回答
附属語学学校に所属していると、本科に優先的に入れる、ということはあるのですか?
基本的に、附属語学学校に在籍していることによる「優先枠」はありません。カレッジや大学の入学審査(アドミッション)は成績や書類をもとに公平に判断されます。
ただ、英語力以外の入学条件(成績や卒業資格など)をすでに満たしている場合、附属語学学校と同時に出願することで、「条件付き入学許可(Conditional Offer)」を受け取れることがあります。「条件付き入学許可」の場合は、席は確保されており、附属の語学学校で、英語力を満たすという条件を満たせば本科に入学することができるため、出願のステップがスムーズになる点メリットです。また、大学によっては、本科合格済の学生が語学学校の最上級レベルに到達した場合に、語学の授業と並行して1~2科目の本科授業を履修できる制度を設けていることもあります。
「条件付き入学許可(Conditional Offer)」は、私立語学学校のパスウェイプログラムを利用した場合でも受け取れる制度です。ただし、「附属語学学校+本科」で条件付き入学の状態で学んでおり、どうしても英語力が期限に達しないような場合は、入学許可の後倒しや、支払い済のデポジットの移行などに比較的柔軟に応じてもらえるなど、柔軟な対応を受けられるケースが多いです。行きたいカレッジ・大学やプログラムが明確に決まっている場合は、附属語学学校の利用がおすすめです。
語学プログラムを取りながら、本科の授業を受けることはできますか?
基本的に、語学プログラム(EAPなど)に在籍している段階では、本科の授業を正規に履修することは原則できませんが、大学・カレッジによっては以下のような形で一部の授業を受ける機会が用意されている場合もあります。
①聴講のみ可能なケース
履修登録はせずに本科の授業に出席(聴講)できる制度です。課題や成績評価には含まれませんが、現地学生の学習スタイルを体験できます。参加には語学力や事前申請が必要な場合があります。
②特定の本科クラスへの登録が可能なケース
大学によっては、語学学校の最上級レベル在籍者に限り、本科授業を1~2科目履修できる制度を設けている場合があります。条件や手続きは学校によって異なるため、事前確認が必要です。
③大学生のみではなく外部学生にも開かれている授業(Continuing Studies)に、自由に登録が可能なケース大学やカレッジには、多くの場合「Continuing Studies(生涯教育部門)」が設けられており、広い年齢層の社会人や在職者、学び直しを希望する人向けに単科授業を提供しています。これらの授業は、正規の大学生でなくても受講できるものが多く、語学留学生であっても希望すれば受講可能なケースがあります。対面授業の場合でも夜間に設定されていたり、オンラインで開講されているなど、柔軟な学びのスタイルが特徴です。
ただし、内容は通常の大学レベルの授業であるため、ある程度の英語力(中上級以上)が必要です。語学プログラムでの基礎が固まった後に、ステップアップとして検討するのがおすすめです。
④私立語学学校とのGAPイヤープログラム
一部の私立語学学校では、大学・カレッジと提携して「語学+本科」を組み合わせたパッケージ型の留学プラン(GAPイヤー型)を提供しています。1学期は語学、次の学期は提携校の本科授業という構成で、申請手続きも簡略化されている点がメリットです。
附属語学学校で学ぶことで、現地の大学生との交流を持ちたいのですが、可能でしょうか
附属語学学校に在籍していると、学生IDが発行されるため、大学・カレッジの図書館やジム、学生寮(レジデンス)などの施設を現地の学生と同じように利用できます。そのため、キャンパス内で交流のチャンスがあることは確かです。ただし、語学学校の授業は一般学生とは別に行われるため、自然に現地学生と知り合える機会は多くありません。友人を作るには、学内のクラブ活動やイベント、寮での交流などに自ら積極的に参加する姿勢が大切です。
一部の大学では、教育学部の学生が語学クラスで実習を行ったり、語学留学生とペアを組む「バディプログラム」を提供している場合もあります。また、日本語の授業を持つ大学では、日本語学習者と日本人留学生が交流する機会が設けられていることもあります。
授業料が私立の語学学校に比べてかなり高いですが、その価値はありますか
公立の大学・カレッジ附属語学学校は、確かに私立の語学学校に比べて授業料が高めに設定されています。これは、カナダ人学生には州政府の補助がある一方で、留学生部門には補助が適用されないためです。特に有名大学では留学生の出願も多く、授業料を下げる必要がないという背景もあります。一方、私立の語学学校は学校数が多く、留学生の獲得を目的とした割引やプロモーションが頻繁に行われているため、比較的リーズナブルな費用で通えることが多いです。
「高い=良い」という単純な比較ではなく、自分の希望に合う学習環境や目標が実現できるかどうかで選ぶことが重要です。附属語学学校には、以下のような具体的なメリットがあります:
・採用条件の厳しい講師陣による、質の高い指導
・大学・カレッジの施設(図書館・ジムなど)を活用できる
・条件付き入学制度や、進学時のステップがスムーズ
・キャンパスライフを通じた現地学生との交流機会がある
授業料あたりの授業時間数は私立語学学校の方が多いケースもあるため、費用だけでなく「何を重視するか」で比較することをおすすめします。
有名大学の附属語学学校で学んでみたい、という希望が強いのですが、デメリットはありますか?
トロント大学、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)、マギル大学などの有名大学は、教育の質や安全性、キャンパス設備の充実度などから、多くの留学生にとって「一度は学んでみたい」と思える人気校です。特に、家族の支援を受けて留学を考えている方からは、「附属語学学校のみで探したい」というご希望もよく伺います。こうした附属校では、質の高い講師陣や大学水準の厳格なカリキュラムに加え、現地のキャンパスライフを体験できる点で非常に高い満足度があります。
ただし、有名大学の附属語学学校は、独自に日本の大学との提携留学や団体受け入れも行っているため、時期やレベルによっては日本人の割合が多くなることがあります。中には「教室でも生活の中でも日本語が聞こえ、思っていたよりも国際交流の機会が少なかった」という声もあります。学校や時期によって状況が異なりますが、本気で英語環境に飛び込みたい方にとっては注意しておきたいポイントです。語学学校選びでは、学校のブランドだけでなく、自分がどんな環境で学びたいか、何を重視したいかを軸に検討するのが後悔のない選択につながります。