採用者はここを見ている、実は奥が深いレジュメ作成
お仕事探しの必須アイテムといえばレジュメが挙がりますが、カナダでは日本と異なり書類が決まっておらず、自由形式でワード等を用いて作成される方法が一般的です。名前、連絡先を一番上に掲載し、職歴や学歴、アピールしたい能力などを羅列する、といった一般的な情報はご存じの方が多いことと思いますが、ご自身のレジュメが皆さんのアピールポイントを最大限発揮できているかといえば、あまり自信のない方も多いのではないでしょうか。私は人事担当者ではありませんが、管理職の一員として採用過程に携わり、これまで数々のレジュメを見てきました。デザインにとても凝っているものの内容の薄い方や、ボリュームが多いものの内容にまとまりがなく、アピール下手な印象を受けた方もいらっしゃいます。そこで今回は採用側の立場から、レジュメの内容においてどこを重視しているのか、アピール方法のポイントを伝授できればと思います。
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目次
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レジュメは大前提として、ワード一枚に納めることが一般的です。採用側としては限られた時間内に数多くのレジュメを素早く読み、半ば”あり/なし”といった感覚で瞬時に決断を下します。例えは悪いかもしれませんが、オンライン恋愛サイトで数多くの異性のプロフィールを閲覧し、瞬時にスワイプしていく感覚と少し似ています。自由記載ですのでフォントの様式やデザインなど、凝って作成されても構いませんが、先方の読みやすさを一番に考慮する必要があります。デザイン系のポジションやアパレルなど、個性や感性でアピールする職種でない限り、普通の無難な形式が最も読みやすいため、多くの採用者に好まれるのではないかと思います。
ネット検索を中心に、レジュメのテンプレや作成例など多くの情報が出回っていますが、私は個人的に一般的な応募者の資質や特性、職歴、学歴の順に、一枚にまとまっている形式がお気に入りです。応募者の資質や特性は”skills and qualifications”などとよく表現されるもので、例えば英語での会話、読み書きでコミュニケーションがとれること、週末、夕方問わずどんなシフトでも入れること、チームメンバーとうまくやっていく能力を持っている、など応募者のアピールポイントが書かれています。もちろん自己アピールですので内容の真偽は面接で吟味する必要がありますが、応募者が自身のアピールポイントをどのように認識しているのか、把握する上で少し面白い内容でもあります。
レジュメで最もボリュームを割きたいものは圧倒的に職歴で、応募ポジションによりますが学歴は最後の参考情報として掲載されます。中にはリファレンスまでレジュメと一緒に提出される方もいらっしゃいますが、レジュメ選考段階では不要とみなされることが多いかと思います。カナダのお仕事探しでは職歴が非常に重視されますので、レジュメにおいては職歴のボリュームを多めに、またそれぞれの職歴について仕事内容を出来るだけ詳細に記載することがお勧めです。前職が全くの異分野、異業種である場合は採用者も基礎知識に乏しいことも考えられますので、仕事内容の記載は応募者の持つ能力、経験を査定する上で大変役立つ内容です。
アピール必須なtransferable skillsとは
応募ポジションが大学卒、ビジネスディプロマ所有者、など学歴に関する要件がある場合をのぞき、多くの採用者は職歴の部分に最も注目していることと思います。カナダでは入社後の現場研修が最小限とされていることが多く、採用側も出来る限り即戦力となる方を採用することがコスト、時間の削減に繋がりますので、エントリーレベルの仕事であっても過去に同じ業界で働いた経験や似たようなポジション経験者が好まれます。まさに即戦力となりそうな応募者がいない場合は、それに近い方、また過去の職歴内容をよく読み、応募ポジションでのお仕事内容と共通したものがないか、過去の職場で得た能力、経験が採用ポジションでどう役立つのか、レジュメを吟味したり推測したりします。
transferable skillsという概念は馴染みのない方も多いかもしれませんが、業界や業種に関わらず、その方の持つ能力として次のお仕事に繋げることのできる資質のことを指します。例えば医療関係の学生さんがアルバイトでレストランに長く勤められていたとしましょう。大きなレストランではサーバー、キッチンだけでなく、ホステスやバスパーソン、バーテンダーなど、多くのポジションがあり、それぞれ立場や役割は少し異なるものの同じお店で協力、連携しながら仕事を進める能力を身に着けることができる環境です。その学生さんが医療関係のお仕事に応募される際には、レストランで培ったチームワーク、コミュニケーション能力をtransferable skillsとしてアピールすることができます。医療と飲食店という、全く異なる業界ではありますが、様々な職種の異なるスタッフで構成されるチームで働くという点では共通しますので、面接で実際に経験されたトラブルや問題を解決した事例など、うまく話をすることで医療業界での経験がなくても魅力的な応募者とみなされる可能性も十分に考えられます。同業種での転職の際はあまり意識する必要がないかもしれませんが、異業種に挑戦される際はご自身の中でもtransferable skills についてご検討され、明確にした上で応募、面接に挑まれるといいかもしれません。
応募ポジションの募集要項にあったレジュメ作成
お仕事探しでは複数の企業に応募される方が多いため、レジュメを一枚作成された後、同じものを複数の企業に提出される方も多いかと思います。決して間違いではありませんが、面接に呼ばれる可能性を高めるにあたり、提出前に応募ポジションについてしっかり理解され、先方の求めている応募者像に沿ってレジュメを修正することも効果的です。求人を見ていますと採用要項として、先方の求めている条件がよく書かれています。コミュニケーション能力や学歴条件、車所有の有無や土日、週末も働ける方、などシフトに関する内容もよく見かけます。そのままコピペすることは問題ですが、採用者がまさに求めている理想の応募者とみなされるため、skills and qualificationの内容を修正したり、過去の職歴、仕事内容を事実に反しない範囲で書き換える方法もあります。特にエントリーレベルの仕事でシフトに関する条件が書かれている場合は、先方にとってとても重視されることが予想されますので、是非レジュメでアピールしましょう。カナダのお仕事の応募では先方の条件にあわない方でもたくさん応募されますので、わざわざ書く必要がない、と思わずに少しでもプラスになる要素は必ず記載することが重要です。
北米のお仕事探しでは自信をもってアピールができる方が有利とされていますが、お仕事のレジュメ選考では企業が求めているものをどの応募者がより多く持っているのか、が面接に呼ばれる鍵となります。またまたオンライン恋愛の例えになりますが、異性のプロフィールの中には相手に求めるものが書かれていて、一緒にアウトドアを楽しめる異性と交際したい、長く落ち着いて付き合える相手と出会いたい、など、その方の求めるものが自分に合う場合は連絡をしようという気持ちになることと思います。お仕事探しではレジュメというたった一枚の限られた情報で、先方に”この応募者に会ってみたい”と思ってもらえる工夫が必要です。同様の理由で、先方の応募条件と応募者の資質がつりあわない場合、どれほどアピール上手な方でも嘘をつかない限り成功は難しいことと思います。お仕事探しをしていると、少しでもお給料や条件のいい仕事がしたい、と誰もが考えると思いますが、まずはご自身の市場価値を正しく認識し、身の丈にあったポジションで就労経験を積むこと、そこで培った能力をもとに少しずつステップアップ、転職を続け、理想のポジションに近づけることが北米でのキャリア形成スタイルとされています。カナダ又は日本でも就労経験の乏しい方は、未経験でも採用の可能性のある、エントリーレベルの仕事がたくさんありますので、ボランティア経験や週末、夜間などどんなシフトでも入れることなどを十分にアピールして、まずは何かしらの仕事に就いてみることが第一歩です。レジュメ選考では各応募者が現在どこかで働いているのか、が記載されていることが多く、採用側の立場からは就労中の方のほうが魅力的に見える傾向にあります。
お仕事探しを始めてみると、応募をしているものの面接に呼ばれないという状況は北米でよく起こります。そのような状況が長く続く場合、自分に何か問題があるのかと不安になります。カナダ人の方でも自信を喪失してしまいかねません。まずはご自身の持っている経歴や資質など、アピールポイントを十二分に発揮できる、魅力的なレジュメを作成されることが他の応募者と公平に勝負ができる第一歩に繋がります。ご自身の市場価値をしっかり理解し、transferable skillsを認識したうえで、より歓迎してもらえる業種、ポジションを目指されることが面接に呼ばれる可能性を高めますので、今回の記事の内容を参考にレジュメの内容、応募先を見直すきっかけにしていただければ嬉しいです。
ライター Aki
ワーホリ、学生ビザ等でのカナダ留学歴約3年半、カナダ移民歴6年のビクトリア在住女性。
飲食店や介護施設、サービス業など幅広い業種を経験した後、ブリティッシュ・コロンビア州の保険資格を取得し、現在保険会社にて顧客対応、管理業務に従事している。
趣味はパブリックスピーキング、ズンバ、ヨガなど。
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